麻原彰晃を漫画で描くフランス人作家の信念 カルト宗教が毒ガステロを企てたあのとき
2018年7月、オウム真理教の元代表・麻原彰晃と教団幹部12人の死刑が執行された。
オウム真理教とはいったい何だったのか
前代未聞の衝撃的な事件を目の当たりにした私たち日本国民。教団への強制捜査から23年余経った今、このニュースに驚いたと同時に、忘却のかなたに葬っていたことにハッとした人もいるのでは。
オウム真理教とはいったい何だったのか? 私たちの理解を超えるあの事件はなぜ起きたのか?
私は感興の赴くまま、報道し尽くされた情報とは違う視点のオウム真理教に関する資料を探していた。
その最中、フランス人作家によって描かれたコミック『MATSUMOTO』(G-NOVELS/誠文堂新光社)を見つけた。2017年に邦訳版が発刊されていたとはまったく知らなかった。
1994年、日本の小都市、松本。
この物語に登場する宗教団体の教祖は、ヒンドゥー教の神シヴァの生まれ変わりと信者たちに崇められていた。
だが、宗教に名を借りたこの組織の真の目的は、「ハルマゲドン」を引き起こし、日本政府を転覆することだった。
致死性の高い神経性ガス兵器の開発を極秘に進め、松本にてテロを実行。翌年1995年3月20日に東京の地下鉄にサリン散布計画を企てる。