「子どもの才能」を引き出す環境作りの極意

遺伝子の力を発揮させるのに親がすべきこと

──親の個性、能力も受け継ぐ?

両親から受け継いだ遺伝子によって約束され守られている。大事なのは意思決定力、共感力、自己肯定感を身に付けること。意思決定の始まりは2歳ぐらいからで、しぐさのどんなことでも尊重することだ。他人と比べず、こまめに褒めるのがいい。親の育児不安やストレスは、子の自己肯定感を下げる原因になる。「早くしなさい」と言いすぎると、子どもから考える力を奪う。未来を信じて成長を見守ることが大事だ。

子どもたちの代弁者が小児科医の大事な役割

──小児科医は代弁者なのですね。

この本自体、子どもやお母さんが本来言いたいことを代弁したものだ。小児科医のいちばん大事な役割は子どもたちの代弁者だと、(日本小児科)学会のホームページにも書いてある。これは米国でもそう。「アドヴォケートであれ」と。

高橋 孝雄(たかはし たかお)/日本小児科学会会長。専門は小児科一般と小児神経。1957年生まれ。慶応義塾大学医学部卒業。1988年から米マサチューセッツ総合病院に勤務、米ハーバード大学で神経学講師。1994年帰国、慶大で医師、教授。別名“日本一足の速い小児科教授”(撮影:尾形文繁)

子どもは、何が言いたいのか、なぜつらいのか、本人はわからない。でも、伝えたいという思いはある。怖いとか、苦しいとか。その思いをくみ取る。わかりやすい言葉に翻訳して「そうだよね」と共感する。それが代弁者としての小児科医だ。

──母親との接し方が難しいとか。

子どもを治そうと思ったら、まずお母さんを治せと、小児科の講義の最初に教えられるが、僕はお母さんをうるさい存在と思わない。熱を出して不安なときに、その本当のところは何か、子どもとお母さんがいちばん訴えたいことは何か、その思いを抽出する。

──ワザがないと小児科学の臨床はできない?

医者には大変で難しい仕事がたくさんあるが、代弁者だという分野は少ない。小児科では子どももお母さんも何と表現したらいいかわからないことが結構ある。

時々はファミリードクター的なところもある。子どもは家族の中心。代弁者としてみんなの聞き役に回って、思いをくみ取り、問題点を修正し、調停していく仕事に自然になっていく。

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