「子どもの才能」を引き出す環境作りの極意 遺伝子の力を発揮させるのに親がすべきこと

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──子どもの成長には遺伝子に加え環境の力もかかわります。

むしろ遺伝子で書かれた人生のシナリオは堅牢で、基本的に変わらないといっていい。

──余白や揺らぎもあるとか。

遺伝子の力と環境の力の相互作用は確かにすごい。遺伝子にはスイッチのオンとオフがあって、環境に合わせる。朝飲むのと夜飲むのとでは薬の効きが違うこともある。薬を代謝する酵素の遺伝子が弱かったり強かったりするのだ。

遺伝子は一生の間に老化するばかりでなく、年取ってからオンになるものもある。子どもの頃にすべてオンになる傾向があるが、必要ないものはだんだんオフにされていく。脳での動きが端的な例だ。遺伝子は柔軟性がないわけではないが、そのパターンは決まっている。遺伝子は「守る力」だから、億年の単位でしっかりしていなければ人間はここまで進化しなかったはず。よかったことを守り通すから進化する。

環境の力と遺伝子の力とのハーモニーが大切

──一卵性双生児でも違う特質の人たちがいますね。

環境の力だ。太ったりやせたり、好きなことが違ったりもする。環境でいちばん強い力は努力する力だ。教育環境は猛烈に強い力を持っている。だが、環境力が遺伝子の力を無視できるかというとそうではない。たとえば得意科目は決まっていて男子は理系、女子は文系を好む。向き不向きがあって、遺伝子に決められた個性を順風に乗せていくのが教育という環境だ。環境の力と遺伝子の力がうまくハーモニーを奏でると社会は強くなる。

──ハーモニーを奏でる?

遺伝子を「正しく恐れなければいけない」。2万2000個ある遺伝子はピカピカで傷ひとつ付けてはいけないと思う人がいる。この遺伝子に異変があると言われたら、ただ恐れるのではなく、理解に努めようとすることだ。

本来、遺伝子は皆バリエーションがあって、おまけにオンになったりオフになったり、融通の利くものだ。その時々に合わせて遺伝子が音楽を奏でるように風に乗って動くイメージでとらえたらいい。育児は遺伝子を信じて任せる。その中で、環境における正しい風を吹かせることだ。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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