21. しかし弓矢や槍程度ではヨーロッパのヒグマを倒すことは難しく、勢子たちの命が犠牲になることもあった
22. 「鷹狩り」は、鷹やハヤブサといった猛禽類を使って行われる鳥獣の狩りのことである
23. 鷹やハヤブサは高貴な鳥として高値で売買されていた。それゆえ鷹狩りは〈王者の狩り〉とも呼ばれる
24. 神聖ローマ帝国のフリードリヒ2世も愛好者だったが、当時、優秀な鷹は王侯への贈り物としても喜ばれた
25. 一方、〈貧者の狩り〉と呼ばれたのが、食用や愛玩用に道具や罠を使って野鳥を捕獲する「野鳥狩り」である
26. 野鳥狩りは、鷹狩りをするほど金銭的余裕のない貴族たちのレジャーで、農民たちも作物を守るために行った
27. 農民は狩猟対象の鳥獣の捕獲を禁止されたが畑を荒らす害獣駆除は認められており、森では密猟も行われた
28. 十字軍の時代には、遠征先の中東や北アフリカでライオン狩りも行われたという
29. これは食すためではなく、己の〈勇敢さ〉を示すための狩猟だが、この手の狩りは植民地時代まで続いた
各国の現在の狩猟
30. アジアやアフリカなど行く先々で行われ、彼らは牙や角、はく製などを戦利記念品として自国に持ち帰った
31. イギリスでは、狩猟は貴族や富裕層のたしなみとされ、狩りをする権利はその土地の所有者が有していた
32. しかし他者に貸与することも可能で、狩猟は娯楽として広がり現在48万人ほどのハンターがいるとされる
33. イギリスは銃規制の厳しい国のひとつだが、狩猟文化の伝統から銃取得については一定の配慮がなされている
34. 同国ではシカを対象とした狩りを〈stalking〉(ストーキング)と呼び、通常のhuntingと分けられる
35. ドイツには約35万人のハンターが存在するといわれるが、狩猟を行うには狩猟免許を取得する必要がある
36. また森林管理と狩猟が密接に関係しており、ドイツの森林官のほとんどが狩猟免許を取得している
37. 北欧はヨーロッパのなかでも古くから狩猟が盛んな地域だがノルウェーのハンター数は約19万人とされる
38. ノルウェー領ロングイェールビーンでは1950年代までホッキョクグマの狩りが観光資源とされていた
39. 欧州列強による植民地支配が始まった19世紀以降、アフリカでは「サファリ」と呼ばれる狩猟旅行が盛んに
40. スポーツハンティングはサハラ砂漠以南の25カ国で認められており、現在も年間2万人近い観光客が訪れる
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