ケンタッキーが復活?「500円ランチ」の威力 8月の売上高は11%増、きっかけは大学生の声

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このような状況下で投入した今回のワンコインランチだが、誕生のきっかけは意外なところにあった。日本KFCホールディングスは例年、秋から冬にかけて大学生向けのインターンシップを行っている。そこで参加した学生にケンタッキーのイメージを尋ねたところ、「価格が高い」といった声が多く上がったという。

そうした声があることは以前から社内でも認識されていたものの、ケンタッキー好きが集まった学生からも突き付けられたことは、今回のワンコインランチ投入のきっかけの1つになったようだ。若い世代の食事の選択肢としてケンタッキーを根付かせることは、今後の成長に欠かせない。

待ち時間短縮が課題

今回のワンコインランチをきっかけに店内利用を促進したいという思惑もある。ケンタッキーでは前出のクリスマスなどにまとめ買いをする客が多く、持ち帰り客の比率は7割に上る。

他方、会社側は「揚げたてを食べてほしい」という思いから、これまで店内飲食を促すべく全席禁煙化や充電用コンセントの設置を推進してきた。今回のランチの取り組みにも、そうした狙いが垣間見える。

キャンペーン期間中、店頭では「ケンタのランチが500円から!」という垂れ幕が存在感を放っていた(記者撮影)

一定の成果が出たワンコインランチだが、課題もある。揚げ物という商品を提供することもあり、ほかの外食チェーンに比べてケンタッキーは商品提供まで時間が長くなりがちだ。

ましてや今回のように客数増の施策を実施すれば、待ち時間が長くなり販売機会のロスにもつながりかねない。実際、8月下旬に東京都内の店舗に足を運んでワンコインランチを注文すると、入店から提供までに10分程度を要した。

会社側は5月の決算説明会で、待ち時間短縮などを目的に注文と提供とでカウンターを2つに分けるなどの改装を進めると強調。アプリを通じたネット注文の拡大にも力を入れており、このような施策が待ち時間短縮のカギとなりそうだ。

今回の盛況を受け、10月以降にワンコインランチの再投入を検討しているという。外食業界では人件費や原材料の高騰を理由に値上げの動きが相次ぐ。収益への影響を考慮すると、割引キャンペーンを実施するうえでは、売り上げ増や客数増の継続が重要となる。クリスマスだけに頼らないビジネスモデルを構築することはできるか。

佐々木 亮祐 東洋経済 記者

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ささき りょうすけ / Ryosuke Sasaki

1995年埼玉県生まれ。埼玉県立大宮高校、慶応義塾大学経済学部卒業。卒業論文ではふるさと納税を研究。2018年に入社、外食業界の担当や『会社四季報』編集部、『業界地図』編集部を経て、現在は半導体や電機担当。庶民派の記者を志す。趣味は野球とスピッツ鑑賞。社内の野球部ではキャッチャーを守る。Twitter:@TK_rsasaki

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