ガザから来日した女性起業家が訴えたい言葉 人間の価値を感じる自由な未来をつくりたい
堀:残りの日本の滞在でどんなことをしてみたいですか?
マジッド:今回の日本での滞在の目的は2つあります。1つは、いろんな人に会うことです。いろんな人に会うことで、自分がアクセスできるリソースが増え、アクセスできる自由を感じることができます。また、これまで見たことのないものを見てみたいと思っています。2つ目はビジネス的な目的になるのですが、太陽光発電についてもっと知ってみたいというのがあります。というのも、私は(大学で土木工学を専攻し)太陽光発電のバックグラウンドができていないので、それに対してより知識を得たり、今後のビジネスについて考えたりしたいなと思っています。
堀:僕も昨年ガザを訪ねました。その時は、ガザ戦争からの復興をちょうど始めた頃でした。でも今年に入って空爆なども相次ぎ、アメリカのエルサレムへの大使館移転もあり、緊迫した状況が続いていると思います。こうした状況についてマジッドさんはどのようなことを思われますか?
マジッド:この状況に、本当に失望しています。いつも自分の心の中で考えるのは、「なぜこのようになってしまうのだろう」ということです。ガザに帰ると、悶々としてフラストレーションを感じます。特に、海外で人々がどのように暮らしているのかを見た後は、ガザに帰ったときにすごくフラストレーションを感じます。「なぜ私たちは海外の人と同じような暮らしが送れないのだろう」と。不平等で、受け入れがたく、怒りを感じます。この気持ちが、ガザの人たちのために何かをしようというモチベーションになっています。さまざまな試練がありますが、それを脅威に感じるのではなく、モチベーションに変えようとしています。
堀:日本の皆さんにマジッドさんの活躍を伝えたいなと、心の底から思っています。なぜなら、「ガザ=戦争」「ガザの人々は困り果てている」「気力を失っているのではないか」というイメージが日本では先行してしまっているからです。でも、マジッドさんのような存在は人々に勇気を与えると思います。
メディアで伝えられていないこと
マジッド:メディアは、「ガザはずっと戦争をしていて、援助に頼り、国境で列を作り、まったく普通の生活を送れていない」というイメージを伝えています。でも、これはガザの実際の姿ではありません。メディアでは、若い人たちが持っているポテンシャルや可能性、私たちが持っているスキルや知識については伝えられていないと思います。ただ、それはメディアだけではなく、自分たちの政府や国際機関などもそうです。いちばん取り残されているのは、若い人たちだと思います。