ウェルズ以前に「時間旅行」がなかったワケ

1895年、「タイムマシン」の概念が生まれた

「タイムトラベル」という概念の起源はごく浅い(写真:MR1805/iStock)

「タイムトラベル」といえばこれを読んでいる多くの人は「あーはいはい」とその意味するところをすぐに理解してくれるだろう。空間のように時間を移動することができて、未来に行ったり過去に行ったりできるアレのことだ。

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もちろんタイムトラベル事象は我々の生活の身近なところにあるものではないけれども、邦画でも洋画でも、漫画でも小説でも「タイムトラベル」が出てくるものはいくらでもあるから、なかなかこの概念を知らぬままに生きるのも難しい。

しかし、この「タイムトラベル」という概念はいつ頃生まれたのだろうか。あまりにもよく知っている、よく(フィクションの中で)用いられているものだから、神話の時代からあるだろうと思ってしまうが、実はその起源はごく浅いと著者はいう。

“(……)古代人には、永遠の命、生まれ変わり、死者の国といった概念はあったが、時間旅行という概念はなかった。現代人には馴染み深い「タイムマシン」など、まったく想像の外だった。時間旅行とは、いわば「現代ならではの空想」ということになる。つまり、ウェルズがランプの灯りに照らされた部屋でタイムマシンを空想した時、彼は同時に従来にない新たな思考様式まで作り出したということだ。
なぜそれ以前にはなかったのか。なぜ、そのときにそれが生まれたのか。”

”時間”とは人間にとって何なのか

というわけで本書『タイムトラベル 「時間」の歴史を物語る』は、「タイムマシン」や「タイムトラベル」という概念がなぜそれ以前には生まれなかったのか、またそれ以前の「時間」の捉え方はどういうものだったのか。タイムマシンが生み出された時、人々はどのような反応を持って受け入れ、その後時間観と呼べるようなものはどう変化していったのか。アリストテレス、ニュートン、アインシュタインといった時間についての考証の流れ、物理学的な意味での時間の変遷、哲学的、SF的、文学的な探求など、さまざまな観点から”時間”とは人間にとって何なのかを解き明かしていく一冊になる。

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