「ヤギフィーバー」到来か?除草で人気沸騰 自治体や大企業まで、みんなヤギに夢中

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ところが、ここへきて肝心のヤギの価格が高騰している。

「はい! 13万9000円! 14万! あっ14万1000円! ……よろしいですか? はい、14万1000円で19番さん!」

8月31日、群馬県渋川市の渋川家畜市場で、年に1度の「競り」が行われた。お目当てはもちろんヤギだ。この日は20頭の仔ヤギが競りにかけられた。

渋川家畜市場での競りの様子。北関東一円からヤギが持ち込まれ、その場で売買がなされる(記者撮影)

ヤギの多くは農家と相対で取引がなされる一方、公開での競りは愛知県豊川市、長野県飯田市、そして群馬県渋川市の3カ所で年に3回だけ行われている。その年の春に生まれた仔ヤギが毎年夏から秋にかけて出品される。10年前の平均落札価格はオス、メスともにおよそ3万円前後だったのが、近年は2倍以上にまでハネ上がっている。

ヤギは食肉や乳用として利用されるほか、ヤギ畜産業の調査・研究を行う畜産技術協会は「除草管理にヤギを用いたり、ペットとしてヤギを飼ったりする需要が高まっているのではないか」と分析する。

人気沸騰で高騰するヤギ価格

出品したうちの1頭が10万円で落札されたヤギ農家の木村幸雄さんは「まずまずの値段。もう少し高くてもよかったかな」と笑う。他方で、個人でヤギを飼育しているという花嶋美清雄さんは「値段が高くなりすぎて、結局1頭も買えなかった。10万円を超えたら血統書付きが買えちゃうよ。ヤギブームなのかな」と苦笑する。

ブームとは対照的に、全国的なヤギ農家の戸数や飼育頭数は近年やや盛り返したものの長期的には減少傾向にある。静かに広がるヤギ除草の輪は、環境や社会貢献だけでなく、地域経済にも意外な効果をもたらすかもしれない。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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