「ヤギフィーバー」到来か?除草で人気沸騰 自治体や大企業まで、みんなヤギに夢中
ヤギ除草を自社で展開する企業もある。大手ゼネコンの鹿島は2010年からヤギ除草を行う。当初は社宅の庭や自社の工事現場を除草していたが、民間企業からの依頼も舞い込むようになった。
現在は長野県の業者から依頼を受けてヤギを「出張」させるなど、ヤギ除草の需要は意外にも根強い。近隣住民へのアンケートでも、鳴き声やふんのにおいについては気にならなかったという。
実際、ヤギ除草にはいくらかかるのか。神奈川県でヤギのレンタルを展開する有限会社アルファグリーンに除草料金の見積もりを協力してもらった。
レンタル料は安いが、「お見舞い費」がネック
さいたま市内でヤギ3頭を用いて除草を行う場合、費用は3ヵ月で48万円、6ヵ月なら72万円だ。期間は面積や草の生育状況、ヤギの品種、食べ残しをどこまで許容するか、などによって割り出されるという。
ヤギ自体のレンタル料は1頭あたり1カ月1万5000円。これに加えてヤギの運搬や除草現場の構築、また体調管理のために定期的にスタッフが巡回に来る必要があるため、人件費や交通費を加えると上記のような数字になる。
社長の池崎真氏は「企業や病院での依頼が多い。除草だけでなく、周辺住民との交流や入院患者の癒やしとしての役割もある」と話す。
いくら環境によくても、費用対効果がいまいちであれば導入には二の足を踏む。そこで、人間とヤギのどちらが効率的かを検証したのが、静岡県浜松市だ。昨年6~7月に、市内の農園にヤギを投入し、除草の効果や費用を検証した。
その結果、ヤギをロープでつなぐ最も安価な方法(繋牧)では、平地ではヤギと人間の費用は同程度で、機械を入れず手作業となる急傾斜地であればヤギが圧倒的に効率的という結果が出た。「ヤギは急傾斜地でも食べるスピードは変わらない」(農業振興課)。
この結果を受けて、同市は今年からヤギの購入費や飼育費などを最大20万円まで助成する補助金制度を創設した。「すでに1件の申し込みが来ている」(同)という。
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