ソニー好調支えるスマホゲーム「FGO」の威力 開発責任者が語る、大ヒットRPG成功の舞台裏
――ディライトワークスの企業理念は、「ただ純粋に、面白いゲームを創ろう」です。FGOの爆発的人気に伴って、これが難しくなってきたと感じることはないですか。
特にはない。アニプレックスも、イベントなどを含めたマーケティングは一緒にやっているが、ことゲームの開発に関しては原作者とディライトワークスの2社に任せてくれている。
「これをやったら面白いが、場を乱すのではないか」と自粛することはどの仕事でもあるだろう。予算や時間などにも縛られる。そういうしがらみを捨てて、お客様に楽しんでもらえるものを作っていけたら、というのが企業理念に込めた思いだ。
売り上げを立てるためにゲームを作るのではなく、面白いゲームを作って、ユーザーがそれを評価することによって収益が上がり、もっと面白いゲームを作るためにそれを使うという優先順位は守られるべき。だから、社員に私から数字の話をすることはあまりない。
働き方や給料ももっとよくしたい。そうした思いもあって、会社を立ち上げてから1年半くらいの間、社長の僕はほぼ無給。ヤフオクでモノを売って、ラーメンの特盛りを頼むのも躊躇するような超のつく貧乏生活だった(笑)。それでも社員にとっての優先順位は変えたくなかった。最近はよく「成功されましたね」と声をかけてもらうが、まだまだ発展途上だ。
ゲームだけを作っていてはいけない
――現在はスマホゲームの「FGO」が主力製品ですが、会社として今後はどこに向かっていくのでしょうか。
すでに発表しているものも含め、複数のタイトルを考えている。他社との協業もあれば、オリジナルもある。今後、当面はスマホゲームがビジネスの中心になっていくことは間違いないが、5年後、10年後はわからない。
これまでも20年ほどのサイクルでプラットフォームの移り変わりがあったので、今のうちにさまざまな可能性に挑戦しておく必要がある。その点、現在はFGO人気によって、VR(仮想現実)ゲームや実世界でのゲームイベントなど、あらゆる挑戦ができるのはチャンスだ。
スマホゲームは、隙間時間に遊べる一方で、作品として記憶に残りにくい。われわれが提供したいのは、2〜3年のサイクルで、はやり廃りのあるものではなく、10年経ったらその分価値が高まるような作品だ。たとえば、僕がスクエニでかかわった「ファイナルファンタジー」はその1つだと思う。
FGOもここから派生作品が出てくるものだと自負している。スマホだけで完結しない部分は、ゲームセンターのゲームやアニメ、劇、画集、イベントなどを提供することで世界観を作り上げていく。そういう意味では、ゲーム制作会社でありながら、ゲームだけを作っていてはいけない。
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