ラオックス銀座閉店、脱「爆買い」戦略の成否 インバウンド消費の激変に振り回された

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8月末の閉店が決まったラオックスの銀座本店。入口付近には客も集まるが、2階や3階の売り場は人影もまばらだ(編集部撮影)

多くのブティックや飲食店が立ち並ぶ東京・銀座の中央通り。ショッピングバッグを持った大勢の外国人観光客が闊歩する様子は、ここ数年ですっかり定着した風景である。だが、人気店の顔触れには変化が出てきている。その象徴が、今年8月末に閉店することが決まったラオックスの銀座本店だ。

銀座本店は、中国人観光客の「爆買い」が話題になった2015~2016年頃、インバウンド消費の代表的なスポットとなった。店に横付けされた大型観光バスからは、団体客がひっきりなしに入店。山積みに陳列された高級炊飯器を客が大量に購入していく様子は、銀座の名物となった。

中国人観光客の消費が様変わり

だが、この8月の週末に訪れた同店に当時の熱気はなかった。入口に近い1階こそ客は多いが、2~3階の時計や家電の売り場は人がまばらで、店員は暇を持て余している。盛況なのは、日本製の日焼け止めやストッキングなど、単価が低い日用品だ。

2009年に中国家電量販店の蘇寧雲商(現・蘇寧易購)に買収されて以来、ラオックスは羅怡文社長の下で家電量販店から中国人観光客向け免税店への転換を図ってきた。ここに訪日客の急増が重なったことで、2014年度には13年間続いた営業赤字から脱却した。

翌2015年には、売上高926億円、過去最高の営業利益85億円をたたき出した。勢いに乗った同社は、国内50店舗を目標に地方都市やクルーズ船が発着する港の近くなどに出店を加速。旅行会社に手数料を支払い、団体客を誘致するビジネスモデルでひたすら拡大路線を歩んできた。

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