ラオックス銀座閉店、脱「爆買い」戦略の成否

インバウンド消費の激変に振り回された

だが、絶頂は長くは続かなかった。訪日中国人の数が増え続ける一方で、2016年からは中国政府が時計や化粧品などの一部消費財に高い輸入税をかける通称“爆買い関税”の徴収を開始。さらに為替が円高元安に触れたことで、中国人観光客の消費額が激減した。リピーターなどの個人客の増加により、売れ筋商品を大量に陳列する団体客向けの店作りも需要に合わなくなっていった。

こうした悪条件が重なった結果、2016年4月からは免税店売上高が激減。免税店に全体の売上高の8割ほどを依存していたこともたたって、同年には約10億円の営業赤字に再転落。不採算店舗の減損もあり、最終赤字約15億円を計上した。中国人の消費に詳しいインバウンド評論家の中村正人氏はこうも分析する。「中国人の間でラオックスが有名になりすぎたためか、上海など都会に住む人にとって、ラオックスで買うのは田舎者、という認識になってしまった」。

中国人社長の大胆な転換

再びどん底を味わったラオックス。そこで羅社長が打ち出したのが、インバウンド向け物販の一本足打法から脱却し、日本という場所に限らずモノやサービスを提供していくという新たなビジネスモデルだ。

銀座本店の近隣にある、ラオックスの銀座EXITMELSA店。本店は閉店するが、こちらは営業を継続する(編集部撮影)

まず、免税店は出店過剰だった西日本や繁閑の差が激しいクルーズ船就航地の店舗を中心に閉店を決断。既存店にも改装をかけ、焼肉店を開店したり、化粧品売り場にカウンセリング用カウンターを導入したりするなど、単なる物販からの脱却を進めている。銀座本店閉店後も店舗を維持する近隣の銀座EXITMELSA店でも、浴衣のレンタルサービスなどを展開しているほか、今後は改装を行い、販売好調な化粧品・美容家電の売り場を拡充する予定だ。

さらに、販路は国内実店舗に限らない。中国アリババグループの越境EC(インターネット通販サイトを通じた国際的な電子商取引)や中国人が多用するSNS「WeChat(ウィーチャット)」にも出店。中国現地での展示場販売や、中国向けの商品輸出なども強化し始めた。

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