まず、親の子どもへの言葉がけの種類が変わります。すると子どもは認められたと感じるようになります。自分を認めてくれる人のことを信頼します。信頼関係ができると、その人の助言や指示を受け入れるようになるのです。
でも、自分の子にはいいところがないと言う人もいます。それは見ようとしていないだけのことです。見ようと思えばいくらでもいいところは出てきます。
ざっと思い浮かぶだけでも次のような尺度があります。人との話をすることができる、モノを作るのが上手、心理を読むことができる、コツコツを言われたことをしっかりとこなすことができる、記憶が得意、分析が得意、絵を描くことが得意、反射神経、楽器ができる、歌が上手、料理が得意、整理整頓できる、外国人とも自然に話せる、お金を稼ぐことができる、組織を動かすことができる、などなど。まだまだ尺度は星の数ほどあります。
これらすべて、それぞれが立派な尺度です。そういった自分が得意なことや好きな尺度で生きていくと、その人の人生は幸せになるのです。だから、たくさんの尺度を認めてあげましょう。すると、そこから自信が生まれます。自信が生まれると、それが自己肯定感に直結しているので、高まっていくのです。
自己肯定感が満たされると、偏差値も上がり出す
さて、実はここから先が大切なことなのです。
それは「勉強以外の尺度で自己肯定感が満たされると、偏差値も上がり出す」ということなんです。
つまり、本当に勉強する子になってもらいたいのであれば、勉強以外でその子の尺度を認めていくことで、裏から回って偏差値尺度が上がっていってしまうということです。なぜなら人は、1つでも尺度が満たされると、安心感を覚え、それ以外の尺度、たとえば勉強のようなやらねばらない尺度も、やってもいいというように寛容になっていくものなのです。
裏から回っていくとはこういう意味です。勉強以外の尺度、たとえば先ほどの例である、料理が好きという尺度で説明しましょう。
料理が好きなことを認めてあげると、料理に関する分野に関心を持つようになります。すると料理の本を読むようになったりします。それは活字で書かれており、内容を理解しようと“勝手”に思うようになります。これは国語の一部につながります。
また、料理では数字も出てきますし、作り方という手順も重要です。これは算数や理科の一部につながります。ほんの少しだけ、勉強に関する部分と“かすれば”いいのです。この「わずかな接続」があると自覚できると、子どもは勉強の意味を感じ出します。どのような尺度でも勉強の一部と“かする”ことがあるのです。
これまで砂田さんのような状況にあるご質問をたくさん受けてきました。その度に、このようなアドバイスをしてきました。その結果、子どもが「なぜか勉強にスイッチが入った」というご連絡をたくさんいただいています。実はその背景には上記のような仕組みがあるのです。
ですから偏差値を上げたければ、今やるべきは、低い偏差値について親が騒ぐことではないのです。そもそも家庭でやるべきことと、学校でやるべきことは違います。学校には学校の役割があり、家庭には家庭の役割があります。学校の役割を家庭がやると、軋轢が生じます。
砂田さんには、ぜひお子さんの中に、勉強以外の尺度を見つけ、それを認めてあげてほしいと思います。すぐに変化がでるとは限りません。時間がかかる場合もあります。でも徐々に勉強に対する子どもの意識は、不思議と変化していくはずです。
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