東大生が厳選「語彙力がグングン伸びる」3冊 退屈な参考書も「読み方」を変えれば効果倍増

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1冊目は、「漢字力」から語彙力を鍛える本です。

『生きる漢字・語彙力』

漢字力と語彙力はセットで鍛える

まず僕がお薦めしたいのは、『生きる漢字・語彙力』(霜栄著、駿台文庫)です。

これは意見が分かれるのかもしれませんが、僕は日本語の語彙力は漢字とセットだと思います。

たとえば人と話しているときに、聞き慣れない言葉だな、と思ったものって、十中八九、漢字変換できないものだと思いませんか? 「難しいな」「わからないな」と思う言葉って、その多くは「漢字で理解できないもの」だと思うのです。逆に、難しい言葉・聞きなれない語彙でも、漢字さえわかればなんとなく意味がわかるということは多いですよね。

「徒労」と聞いてパッと意味が思い浮かばない場合でも、「徒労の『労』って、苦労の『労』と同じ漢字だな」と思ったら「なんか大変で苦労している感じなんじゃないか?」とぼんやり理解できますよね? つまり、語彙力って漢字力とイコールになる部分が多いのです。

この『生きる漢字・語彙力』はそれを体現しています。この本は漢字ドリルの側面を持ちながらも、ちゃんとすべての漢字にその意味やポイントが載っているんです。「徒労」であれば、「むだな骨折り。(同じ漢字を使う言葉は)「徒歩」「徒党」「労働」」としっかり書いているのです。

『生きる漢字・語彙力』は「英語単語ドリル」と併用する

僕はこの本を、英単語ドリルと一緒に使っていました。たとえば「徒労」という漢字を覚えるときに、「じゃあ、『徒労』って英語でなんて言うんだろう?」と検索して、漢字の下に英語を書き込んだのです。

これは、一緒に英語を覚えるためではありません。語彙力をつけるには、これがとても有効なのです。

たとえば「徒労」を英語で言うと「waste」となります。これは、「浪費」とか「無駄な」とか、そういう意味のある英単語です。これをセットで覚えておくと、「徒労」のイメージがより深く、具体的に理解できるようになります。「徒労」「浪費」「無駄」……そんな語彙の持つイメージを、「waste」という言葉を媒介にして理解できるわけです。

翻訳がいちばん、語彙力を問われる作業だと言われています。日本語から英語に翻訳しよう、英語を日本語に翻訳しよう、この言葉にぴったり対応する言葉はあるかな――。そうやって思い悩む作業の中でこそ、いちばん語彙力が磨かれていくのだと。

しかし、翻訳ってなかなかハードルが高いですよね。「よっしゃ! この英文を全部日本語にするぞ!」とか、なかなか難しいと思います。だからこそ、こういう「漢字」からスタートするのです。単語を翻訳するのなら、そこまで大変ではありません。スマホや電子辞書で検索すれば一発、ラクに翻訳家の気分が味わえます。

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