日本人が治すべき「テクノロジー怖い」症候群 GAFAを知れば「新しい生き方」が見えてくる

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アップルもそう。僕の友人は「ファーウェイは安くていいけど、アップルウォッチを使ってるからアイフォンをやめられない」と言っています。すべてが一体化していて、一度絡め取られると出られなくなるんですね。グーグルも、アンドロイドやGメールなどを無料提供して人々を取り込んだ。目先の利益に飛びつくのでなく、まずは生態系という世界を作ったのがGAFAです。

――凋落がささやかれるフェイスブックについてはいかがでしょうか。

フェイスブックは決済にひもづいていませんし、他社に遅れて甘いところがありますね。ただ、フェイスブックが構築した巨大なSNS、ソーシャルな関係というものは、他社が成しえていないものです。

アマゾンも裏の人間関係のデータを持ってはいるんですよ。「この本を買った人はこんな本も買っています」という表示、あれは実はSNSなんです。協調フィルタリングというデータ解析を使って、同じ商品を買う人をグルーピングしているんですが、表には出していません。グーグルもグーグルウェーブ、グーグルプラスと何度もSNSに挑戦していますが、すべて失敗。アップルにも一時期ピングという音楽SNSがありましたが消えました。人間関係に関しては、やはりフェイスブックが強いんです。

最近、フェイスブックが米国の巨大銀行にアプローチしているという話もあります。リアル銀行と手を結ぶことで、アマゾンペイに対抗しようということでしょう。いまさらECをやっても勝てませんが、まだアマゾンがやっていないところを探して攻め込む。彼らには世界の全体像が見えていて、どう支配するかを考えているわけです。ゲームの『信長の野望』のようですね。

――GAFAの生態系に対抗することは難しく感じますが、日本の小さい企業などはどこにチャンスを見出せるでしょうか。

小さい企業は自分でゼロから生態系を作るのではなく、プラットフォーマーの作った大きな生態系のなかに、サブ生態系を作るという方向になるでしょう。実際、スタートアップの優秀な企業はGAFAをどう利用するかに長けていますよ。

ただ日本は、生態系を作るというような発想には乏しい。モノづくりの呪縛から解き放たれておらず、見えない世界を創造することに弱いんですね。iPodが発売された時、ソニーの技術者が中を開けてみて「こんなものならうちで簡単にできる」と言ったという話があります。日本の家電製品はケースの中のバリまで取ってあって、海外製品とは丁寧さが違う。それは日本の技術者の矜持でもありました。しかし、もうそういったことでは勝てない時代に移行しているんです。

日本人は「IT怖い」から卒業せよ

日本人はITに関しては「怖い怖い」としか言わないという欠点もあります。しかも、怖いと言いつつ、一度過熱すると突っ走ってしまう。

数年前、ビットコイン関係の投資家が来日したことがあるのですが、海外でビットコインの話をするとどんどん具体的な議論になるのに、日本では「いやだ怖い!」という反応ばかりだったそうです。

ところが、結果的には日本だけがビットコインに超過熱してしまった。怖い怖いと言っておきながら、みんなが赤信号を渡り始めたら、みんなが無視して、そしてみんなではねられる(苦笑)。

そういったことを克服するためにもGAFAのことをよく知り、GAFAの作った世界の構造というものについてよく認識するべきだと思います。『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』にはGAFAの時代を生きる知恵が終盤の章に描かれていて感心しましたが、なかでも大切なのは、流動的・能動的であることを心掛けることでしょう。

大きな企業の「寄らば大樹の陰」でひっそり生きるというのはもう無理。固定的に仕事や人生を考えると、もはやうまくいかない時代です。「怖い怖い」から卒業して、GAFAをインフラとして活用するにはどうすればよいか、そこを考えていくべきでしょう。

(聞き手・構成:泉美木蘭)

佐々木 俊尚 作家・ジャーナリスト

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ささき・としなお / Toshinao Sasaki

1961年兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。毎日新聞記者、『月刊アスキー』編集部を経て、2003年よりフリージャーナリストとして活躍。ITから政治、経済、社会まで、幅広い分野で発言を続ける。最近は、東京、軽井沢、福井の3拠点で、ミニマリストとしての暮らしを実践。『レイヤー化する世界』(NHK出版新書)、『そして、暮らしは共同体になる。』(アノニマ・スタジオ)、『時間とテクノロジー』(光文社)など著書多数。

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