日本人が治すべき「テクノロジー怖い」症候群

GAFAを知れば「新しい生き方」が見えてくる

――一握りの大企業に集約されていく時代、そこに勤務できない人々はどう考えればよいのでしょう?

みんなが流動化するしかないですよね。ただ問題は、GAFAには搾取されないと働けないということです。たとえばフェイスブックの人間関係を利用してビジネスをするには、フェイスブックに自分の人間関係を提供しないとフィードバックされません。そこで、ある程度GAFAとの共犯的な構造を認識し、是認して生きていくことになります。

旧来の雇用・被雇用という関係ではなくなる、ということも念頭に置くべきでしょう。グーグルのリスティングを使って広告を出して営業する、フェイスブックの人間関係を利用して新しい仕事を取る、いずれも一種のCtoCです。Bというプラットフォームの上で起きているCtoCですね。

そうなると、最終的には人と人との関係をプラットフォームの構造の上でつくっていくということになります。最近出版した『広く弱くつながって生きる』(幻冬舎新書)という本にも書きましたが、ゆるやかな人間関係をつくって、個人と個人がつながって仲良く生きていくしかありません。

産業の構図として、GAFAのようなプラットフォーマーに支配されるという構造は、今後永遠に続くでしょう。ただし、プラットフォーマーは、BAT、ウーバー、エアビー、テスラなど次に何がくるかはわかりませんが、つねに競合していますから、いつひっくり返るかわからない。戦国時代の領主さまと農民の関係みたいなものです。領主さまは偉そうにしているけど、たまに滅ぼされたり、下克上が起きたりするわけですね。

GAFAは権力構造を複雑化した

プラットフォーマーによって、権力が分散し、より複雑な権力構造の世界に向かいつつあるという見方もできます。

江戸時代以前の日本社会を支配していた権力は、ネットワーク化された複雑な構造でした。精神世界を支配するお寺、土地を持つ貴族、警察的に支配する武士と複数の権力が入り乱れていて、農民や町民はそれらが相互に絡み合う権力コミュニティのなかで少しずつ支配されていたわけです。これからの世界はこの構造に近い。

19世紀帝国主義の時代、日本は欧米列強に対抗し、植民地化を防ぐために強大な権力を集中させました。戦後も多くの企業を合併させて大企業にしましたし、アメリカは何十社もあった自動車企業をビッグ3にした。しかし、21世紀的構造では、機動力を生かして小刻みに動き回る企業のほうが強くなり、大企業であることのメリットがあまりありません。同時に、国以外の企業やNPOなどの力が増して、複雑な相互作用で社会が成立しています。

日本、イギリス、フランスなどの国があり、それぞれ一民族一国家になった。しかし、政府がすべてを支配するのは難しくなり、一方で国民国家の領域を乗り越えていく企業が現れた。そこで、国民国家という構図がもう一度解放されて、「国もあるけどGAFAもある」という世界に向かいつつあるわけです。

支配と言うと固定的なイメージがあるかもしれませんが、GAFAは上からの権力ではなく、下からの権力です。GAFAからはわれわれの望む生活の基盤が提供され、そこからは出られないけれど、その中を動き回るのは自由。GAFAの作った生態系の中で生きているようなものです。

たとえば、アマゾンはほぼ原価に近い価格でファイヤータブレットなどのハードウエアを売っています。そこで儲けるのではなく、プライム会員という生態系に入ってもらうことが目的だからです。

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