一般的な傾向として、女性は仕事が充実していると結婚を先延ばしにし、不安定なときに結婚をしたがる。逆に男性は、仕事が不安定だとまずは結婚をしたがらないが、仕事が安定していると結婚にも踏み切る。
婚活アプリに登録してみたものの…
“もう待ったなし。本気で結婚しよう”と、唯香は真剣に婚活を決意した。
だが、周りを見渡しても結婚を前提に付き合えるような相手は、もういなかった。そんなときに、仲のいい友達の結婚が決まった。
「『どこで出会ったの?』と聞いたら、『婚活アプリ』だというんです。そこで、彼女と同じアプリに登録をしました」
大手が運営する婚活アプリだったのだが、そこには、マッチングした相手と、“すぐに会う”か“ゆっくりメールしてから会う”かの選択ボタンがあった。
「マッチングして“すぐに会う”を希望している男性は、遊び目的で登録しているような気がしたので、“ゆっくりメールしてから会う”を選択している男性を選ぶようにしました」
数名の男性とマッチングしたが、メールのやり取りをしていくうちに話題が尽きてしまったり、メールが来なくなってフェードアウトしてしまったり、なかなか会うところまでたどり着けなかった。
そんな中、登録写真も好みのタイプ、趣味も合う男性、吉川富生(40歳、仮名)とマッチングし、メールのやりとりをするようになった。
「それまでの男性とは違って、メールの話題が尽きなかった。サイトでのやり取りはニックネームでするんですが、すぐに本名も教えてくださいました。すごくマメな人で、1日に何通もメールが来たし、時おり長文メールが来ることもあった。趣味のこと、仕事のこと、職場での様子など、プライベートなこともお互いに話すようになりました」
吉川は、都心寄りのとある市の施設で働いていた。シフト制の職場なので、土日に出勤することも多いと言っていた。
「3カ月くらいメールし合っていて、いろいろ踏み込んだ話もするようになっていたので、『そろそろお会いしませんか』とメールに書いたんですね。そうしたら、それまではメールを入れると即レスできていたのに、1日経って翌日の夜に返信がきたんです。そこには、『今月は、仕事が忙しいから来月お会いしましょう』と書かれていました」
“会う”という話を出した途端に、メールの返りが悪くなった。そして、翌月になり、会う日程出しをする段になると、さらにメールが滞るようになった。それでも、なんとか会う日程が決まった。
「ただ私の中にも、少しずつ不信感が芽生えていたので、“○×市”“△△関係施設”“彼の本名”をキーワードにして、試しに検索してみたんです。そうしたら“去年採用した職員”というところにヒットして、顔写真付きの職員一覧が出てきた。その中に、彼がいたんですが、写真を見て唖然としました」
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