日本が「米中貿易戦争」に無策すぎる根本理由 地政経済学的に正しい中国の「富国強兵」戦略

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トランプ政権が仕掛けた貿易戦争は、皮肉なことに「一帯一路」構想を加速化している(写真:Leah Millis/REUTERS)
7月に始まった「米中貿易戦争」は、8月23日、双方が160億ドル相当の輸入品に追加関税をかけ合い、次のステージに突入した。
米中衝突はこのまま加速するのか。日本はいかに向き合うのか。
著書『富国と強兵 地政経済学序説』で貿易問題を「地政経済学」で読み解いた筆者が、この状況を分析する。

トランプの関税引上げが「一帯一路」戦略を加速させた

本年4月、筆者はドナルド・トランプ政権による関税引き上げに関して、次のように指摘した。

「米国は、今回の関税措置において、中国に対して特に強硬な姿勢で臨むと同時に、ロシアも適用対象国とした。その結果、米国市場へのアクセスを制限された中国は、ユーラシア大陸の内陸部への進出をより強めるであろう。ロシアもまた、中国への接近を図るであろう。

こうして、トランプの関税措置は、ユーラシア大陸を勢力圏におさめようという中国の『一帯一路』戦略を加速し、強化してしまうのだ。ユーラシア大陸内陸部を勢力圏におさめたら、中国は、今度は南シナ海、そして東シナ海への進出を本格化させるであろう。要するに、日本の安全が危うくなるような地政学的変化が引き起こされるのだ」

その際、筆者は、次のような日本の戦略を提言した。

「それは、米国の貿易黒字削減要求に対して、内需拡大によって応じることだ。内需拡大による経済成長は、米国からの輸入を増やすというだけでなく、日本国民を豊かにするうえでそもそも必要なことだ。

内需拡大の実現には、積極的な財政出動が不可欠であるが、日本が財政赤字を懸念する必要がないことは、すでに証明しておいた。

さらに、拡大した財政支出の一部を防衛力の強化に向けるならば、なお賢明である」(米国の関税戦略に「日本封じ込め」の意図あり

トランプが仕掛けた貿易戦争について、筆者はこのような予測と提言を示したのだが、はなはだ残念なことに、これらに同意してくれそうなのは、わが国ではなく、中国だったようである。

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