米国の関税戦略に「日本封じ込め」の意図あり トランプに対抗し、再び「富国強兵」を目指せ
トランプ大統領の明確な戦略性
米国の鉄鋼とアルミ製品への関税の適用に対して中国は、4月2日、報復として米国からの輸入品に関税を上乗せした。すると米国は、3日、知的財産権侵害を理由に通商法301条に基づき、半導体などハイテク分野を中心に約500億ドル相当の関税を課すと発表した。
4日には、今度は中国が航空機、大豆、自動車を含む106の米国製品への500億ドル相当の報復関税計画を発表すると同時に、米国を世界貿易機関(WTO)に提訴した。
すると米国は中国の報復関税に対する報復として、5日、1000億ドル相当の中国製品に対する追加関税措置を検討すると発表した。
こうした中、習近平国家主席は10日、自動車への輸入関税を今年引き下げ、自動車合弁の外資出資規制を緩和する方針を表明したが、これに対する米国の反応は、本稿執筆時点においては明らかではなく、米中関係は、まさに典型的な貿易戦争の様相を呈している。
しかし、この米国による関税措置を、トランプという非常識な言動の多い大統領による理不尽な政策として片づけてしまうと、その本質を見失うことになろう。
まず、関税の適用対象となった国々を見てみると、米国の明確な戦略性が浮き彫りとなる。
たとえば、米国の鉄鋼の主な輸入先の約半分を占めるカナダ、ブラジル、韓国、メキシコの4カ国が、暫定的に適用対象から外されている。関税引き上げは、輸入品の価格高騰によって国内経済に打撃を与え、国民からの反発を招くおそれがある。それを計算に入れて、この4カ国の適用を除外した可能性がある。
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