北朝鮮が引き起こしかねない米中戦争の危機 ハーバード大教授が警告する「過去との相似」
閉幕したばかりの平昌五輪が南北融和を後押ししたとはいえ、朝鮮半島の危機は続いている。北朝鮮問題に加え、中国の海洋進出などで東アジアの地政学リスクは高まるばかりだ。
2月26日発売の『週刊東洋経済』は、「日本人が知らない地政学」を特集。米国と中国の覇権争いや、流動化する世界情勢を解説している。
「米中開戦の可能性は高まっている」と説くのは、ハーバード大学のグレアム・アリソン教授だ。同氏は歴代の米国防長官の顧問であり、クリントン政権で国防次官補を務めた。また、冷戦時代の米ソ直接衝突を考察した政治学の名著『決定の本質 キューバ・ミサイル危機の分析』でも有名だ。そのアリソン教授を直撃した。
米国が北朝鮮を空爆したら中国、日本も巻き込まれる
――米中開戦の可能性はなぜ高まっているのでしょうか?
北朝鮮が原因だ。北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)や核兵器の実験を続けるなら、金正恩委員長の行為を止めるため、ドナルド・トランプ大統領は北朝鮮を空爆しようとするだろう。その結果、第2次朝鮮戦争が勃発する。中国、日本も巻き込まれる。
最終的には北朝鮮と密接な中国と米国の戦争となる。2018年は朝鮮半島に注目が集まる年といえるだろう。
――あなたの近著『米中戦争前夜』によると、歴史の流れからみて米中の対立は避けられないのでしょうか?
そのとおりだ。米中の対立については、古代ギリシャの歴史家トゥキディデスが説いたアテネとスパルタのペロポネソス戦争が参考になる。
新興国と覇権国との力関係が崩れた場合に、戦争が起こりやすくなるという考えだ。米中はまさに「トゥキディデスのわな」に陥っている。
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