剛力彩芽のSNS恋愛投稿は一体何がマズいか オープンなのは結構だがビジネスには悪影響

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その意味で忘れてはいけないのは、自分の力だけでは守り切れないものがあること。実際、すでに今回の騒動で、前澤さんの元恋人である紗栄子さんの写真がネット上に飛び交っていますし、なかには剛力さんと紗栄子さんの写真を並べた上で、見た目やコメントなどを徹底比較する悪趣味なものもありました。報じられるたびに子どもの話題も出されますし、子ども本人がそれを見て傷ついてしまうかもしれません。

ビジネスの相手ならまだしも、「現在の家族や、のちに誕生する子どもに迷惑をかけてしまう……」という辛い状況を招かないためには、数年後の守りも視野に入れたうえで、投稿しなければいけないのです。

ここまで挙げてきた理由から、剛力さんは「SNSの投稿が原因で、女優として幅広い役柄を演じることが難しい」ことがわかったのではないでしょうか。民放のあるドラマプロデューサーは、「もう一度インスタグラムの投稿を削除し、プライベートは秘密に包んでおいたほうがいい」と言っていました。見る人に何らかの色を感じられるのではなく、白に近い状態でいるほど、作品ごとにさまざまな役柄の色に染まれるほか、ミステリアスな分、人々の興味を集め、作品への熱狂度も増すでしょう。

これもビジネスパーソンにも当てはまることで、「何らかの色を感じられるより、仕事の内容によって柔軟にどんな色でも染まれるほうがいい」、あるいは「どこかミステリアスなところがある人のほうが、興味を抱かせる」ことにつながります。SNSでプライベートを書きつづることは「駄目」というわけではありませんが、色がつき、秘密がない分、魅力を感じさせることは難しくなるでしょう。

批判は収まるが嫌悪感はなかなか消えない

実のところ剛力さんはしばらくの間、恋愛関係の投稿をしていません。それがどんな心境によるものなのか、現時点ではわかりませんが、このまま書かなければ芸能記者たちからの取材攻勢に遭うでしょう。

「自分で投稿するにしても、芸能記者が書くとしても、どちらにしてもプライベートは知られてしまうんでしょ」と思うかもしれませんが、すべては剛力さん自身の言動が招いたこと。徐々に人々の興味は薄れ、批判はいつか収まりますが、一度抱かれた嫌悪感はなかなか消えないだけに、このままSNSの投稿をセーブすることで、じっくり時間をかけてその解消につなげていきたいところです。

剛力さんは素直かつまじめな人柄で知られ、撮影や取材の現場では愛されるタイプ。「女優のなかでも一般人に近い感覚がある」とも言われていた人だけに、ビジネスパーソンのみなさんにとっても参考になることは多いのです。一部で「SNS時代を生きるインフルエンサーの新しい恋愛スタイル」なんて声もありますが、極めてリスクの高いものであることをぜひ覚えておいてください。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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