雑談を漫然とする人と好機をつかむ人の大差

成功者だけが知る「雑談」の効能と活用法

ひととおり打ち合わせが終わって雑談の時間になり、スタッフの1人が、「茂木さんは、番組の司会などには興味がありますか?」と聞いてきたのです。私自身、深い考えもなく、「興味がないことはないですねぇ。そういう機会があれば、やってみるのもいいかもしれません」と答えました。

その場はそのままやり過ごしましたが、後日、キャスターの依頼を受けて、私はお受けすることにしました。後からNHKのスタッフに聞いたところによると、あの打ち合わせは私のキャスターとしての適性を探るためのもの、また本人の意向を確認するためのものだったそうです。

雑談にこそ「人となり」が現れる

なぜ単刀直入にキャスターの打診をしないで、回りくどいやり方をしたのでしょうか。ここに雑談で仕事を取ってくるコツが隠されています。雑談では、ふだん表に出さない本音や正直な気持ちが出やすいのです。

私の場合も雑談という場だからこそ、「やってみるのもいい」という、無意識の本音を出してしまいました。NHKのスタッフはそれを見(聞き)逃さずに「脈アリ」と判断して、改めて打診した。まさに雑談で仕事を取ってきたということです。

雑談中に無意識の本音が出やすいのは、脳科学から説明することができます。雑談をしているのはリラックスしていることが多く、こういう状況では脳の「デフォルトモード・ネットワーク(DMN)」が作動するようになります。

集中して仕事をしているとき、脳はある特定の回路だけが使われています。たとえば、計算しているときは数学の回路、プレゼンをしているときは話す回路といった特定の回路だけが使われ、残りはあまり使われていません。逆に言えば、特定の回路だけが使われるからこそ、余計なことを考えることなく集中でき、成果を挙げることができます。

DMNはこの逆で、集中しているときは作動しません。その代わり、リラックスしているときに作動し、いつも使うのとは異なる回路をつくったりつなげたりします。

このときこれまでつながっていなかった、まったく新しい回路がつくられて、斬新なアイデアが飛び出したり、隠していた自分の素直な気持ちが表面化したりすることがあります。

雑談中に「こういうのはどうですか?」と問いかけるのは、あくまでも相手の反応を確かめるためですが、「正式なオファーではない」ところがミソです。相手にボールを投げて、そのときの相手のリアクションから隠れた本音やニーズを探っています。

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