松井大輔が体現する、異国の地で生き抜く術 11年間で4カ国、クラブを渡り歩いた男の軌跡
有望な若手選手の海外移籍は増加の一途
2018年ロシアワールドカップの直後、日本代表メンバーだった遠藤航(シント=トロイデンVV)と植田直通(セルクル・ブルージュKSV)の2人が欧州移籍に踏み切るなど、日本人若手選手の海外移籍は増加の一途を辿っている。
彼ら2人はともにベルギーに新天地を求めた。遠藤航はデビュー戦となった8月5日のゲンク戦でいきなりゴール。
18日の試合でも2点目を決め、非常に幸先のいいスタートを切った。植田も8月11日のスタンダール・リエージュ戦で初出場。チームの無失点に貢献している。
だが、2人のように順調な一歩を踏み出した選手ばかりではないのが日本人選手の現実だ。ちょうど1年前にドイツ・ブンデスリーガ1部・フランクフルトへ移籍した22歳の鎌田大地は昨季わずかリーグ3試合出場にとどまり、目下、戦力外の危機に瀕している。
今季から遠藤航の同僚となった23歳の関根貴大も昨季過ごしたドイツ・ブンデスリーガ2部・インゴルシュタットではリーグ1試合に出ただけ。有望な若者たちが異国の壁に苦しんでいるのだ。
海外移籍にこういった例はつきものだ。過去にも同じような苦労をした選手は少なからずいた。とはいえ、日本サッカーがレベルアップするためには、そんなリスクを背負ってもっと多くの選手が積極的に海外へチャレンジしなければならない……。
それが、フランス2部(のちに1部)ル・マンを皮切りに、同1部のサンテチェンヌ、グルノーブル、ロシア1部のトム・トムスク、フランス1部・ディジョン、ブルガリア1部のスラビア・ソフィア、ポーランド1部のレヒア・グダンスク、同2部のオドラ・オポーレと足掛け11年間で4カ国・8クラブを渡り歩いた元日本代表MF松井大輔(J2・横浜FC)の主張である。
「海外クラブでレギュラーを張る選手が50人いて、その中から23人を選べるようになれば、ワールドカップ8強の壁をおのずから破れるようになると思う」と2010年南アフリカワールドカップ初戦・カメルーン戦(ブルームフォンテーヌ)で本田圭佑(オーストラリア1部・メルボルン・ビクトリー)の決勝弾をお膳立てした男は強調する。
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