「ハイリスク・ハイリターン」の意外な語源 知ると楽しい金融英単語の世界

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この単語をスペイン語にするとmerced になりますが、これを複数にすると Mercedes です。日本では普通「ベンツ」と言いますが、ヨーロッパでは「メルセデス」で通っています。ベンツもメルセデスも創業者の名前です。スペイン語で「あなた」を usted といいますが、これは 「vuestra merced(あなた様のご慈悲)」がなまったものです。

High Risk、High Return(ハイリスク・ハイリターン)

「ハイリスク・ハイリターン」はよく聞く表現です。risk は普通「危険」の意味ですが、保険の世界では「危険率、保険金額、被保険者」などの意味でも使われます。形容詞「リスキー」risky は日本語化して、よく普通の会話で使われています。もとはイタリア語 rischio、さらにはギリシャ語にその語源をさかのぼり、ギリシャ語では「断崖」を意味したようです。スペインには risco(切り立った岩山)という単語が残っています。

return(戻る)は turn(回す)に接頭辞 re- がついたもので、もとはギリシャ語 tornos(円を描く道具)でした。いずれにしても「回る」イメージですね。turn は大変意味の範囲の広い重要な動詞ですが「ターンする」のように名詞としても日本語になっています。

turnと姉妹関係にある意外な単語

「turning point(ターニングポイント)」も「転換期」の意味で日本語化しています。ビジネスの世界では turnover はきわめて重要な語で「総取引高」「売上回転率」そして金融では「capital turnover=資本回転率」の意味で新聞などを賑わせています。このほか、レコード・プレーヤーの「turntable(ターンテーブル)」もありますね。

この turn と姉妹関係にある語が「パック・ツアー」の tour(小旅行)です。これも「一巡り」から「周遊旅行」の意味に転化したもので、「中南米を一回りしてくるんだ」という表現にその類似した発想をみることができますね。「tour をする人」が「tourist(ツーリスト)」であり、「tour をすること」が「tourism(ツーリズム)」ですね。もともと「馬上試合」を意味した「tournament(トーナメント)」もここから出た言葉です。

接頭辞がついた語としてはまず ad- がついてできた attorney(弁護士)があります。弁護士というと lawyer を思い浮かべますが、こちらは中立的な含みがある語でイギリス英語とされているのに対し、attorney はそれより好ましい意味合いが含まれるアメリカ英語とされています。どうして弁護士の意味になったかというと、困ったときには他人に「まわす」という発想からそのような意味になったのです。

また、tourに否定的接頭辞 de- がつくと「離れて向きを変える」ということから 「detour(迂回)」という語が、con- がつくと「共に回る」ということから 「contour(輪郭、外形)」という語が派生します。このほか、スペイン語がそのまま英語になった単語で 「tornado(竜巻)」があります。野茂英雄投手のトルネード投法が懐かしいですね。どうしてこの意味になるかは言うまでもないでしょう。

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