「ハイリスク・ハイリターン」の意外な語源

知ると楽しい金融英単語の世界

「ハイリスク・ハイリターン」の語源とは?(写真:SergeyMironov/PIXTA)
「キャッシュ」「ハイリスク・ハイリターン」「デフォルト」・・・・・・。私たちが日常的に使う言葉の中には、英語が多く含まれています。特に金融用語は英語だらけ。いつもなんとなしに使っているこれらの言葉ですが、語源や背景がわかると味わい深くなるだけでなく、いろいろ応用が広がるかもしれません。本連載では、さまざまな金融英語の語源をわかりやすく、楽しく紹介していきます。

 

Marketとメルシーは語源が一緒?

Market(市場)

ラテン語に merx という言葉があります。もともとは「品物、財産」の意味でしたが、ここからMercury という語が生まれました。商品(商い)を扱う神様「マーキュリー」です。

この神様の名前はなんとなく皆さん聞いたことがあるでしょう。アメリカの宇宙船の名前になったこともあります。さて、この神様は水星の守護神だったので、この単語は「水星」の意味にもなりました。さらに、中世の錬金術の時代に「水銀」を意味するようになります。

そのmerx の変化形(ラテン語は名詞が複雑に変化します) merces が「賃金」となり、お金で雇われるところから 「mercenary (傭兵)」という語ができました。でもこれはちょっと難しい言葉ですね。

さて、勘のいい人はもう気付いているでしょうが、market もここから来ました。この単語は merx の動詞 mercare(商う)の過去分詞なのです。「商われるところ」というわけです。というわけで、もちろん 「marketing(マーケティング)」 もこの仲間ですし、「merchant(商人)」「merchandise(商品)」もこのファミリーであることに気付きましたか。

これが形容詞になると「mercantile(商業の)」とになり、名詞形は「mercantilism(営利主義)」となります。前者は「シカゴ・マーカンタイル取引所」Chicago Mercantile Exchange(略してCME)を思い出される語です。

また、merces に「共に」という意味のラテン語の接頭辞 com- がついて「商品を共に商うこと」から「commerce(商業)」、その形容詞「commercial(商業の)」が派生しました。ラジオ、テレビの「コマーシャル」はこの形容詞形が名詞に転化したものです。金融関係では「commercial code / law(商法)」 という言葉もよく使われます。

さらに、意外なことに、merces は古いフランス語で「商品」から「神の恵み、慈悲」の意味になり、mercy という語が生まれました。よく見る形容詞形は 「merciful(慈悲深い)」です。フランスの有名な 「merci(メルシー) は、「(私によいことしたから、あなたに神の)ご慈悲を」ということなのでしょう。ちなみに、19世紀のブルガリアの貴族はフランスにかぶれていたので、ブルガリア語でも「ありがとう」は「メルシー」といいます。

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