ふるさと納税「争奪戦」が終わらない深い事情 総務省が12市町を名指し注意、従わぬ理由は?
泉佐野市は、1994年の関西国際空港の開港に伴う都市基盤や公共施設の整備に対する過剰投資が元凶となり、債務残高が膨張。2009年に財政破綻の一歩手前の「財政健全化団体」に指定された。このときの「将来負担比率」は393.5%と、茨城県境町の2倍以上。市が1年に得られる地方税収と普通交付税の合計の4倍近い負債を抱えていた。
市は翌年に「財政健全化プラン」を策定。市職員の定員および給与や議員報酬のカット、遊休資産の売却などひととおりの財政再建策に加え、市名のネーミングライツ(命名権)の売却や、犬の飼い主に課す「犬税」の導入も検討するほど必死の改革だった。その結果、19年かかる予定だったプランを5年で遂行、「財政健全化団体」を脱した。
「航空券に使えるポイント」で受け入れ拡大
こうした中、税外収入を少しでも増やすべく力を入れたのがふるさと納税だった。2008年のふるさと納税制度の創設当初、返礼品は地元産の「泉州タオル」のみだったが、2012年に地酒やカニなどを、2014年には関西国際空港を拠点とするLCC(格安航空会社)ピーチ・アビエーションの航空券に使えるポイントを追加し、受け入れ額をぐんぐん伸ばしていった。
「これまで総務省と同じ方向を向いてふるさと納税を一緒に盛り上げてきたのに、ここ2~3年で急に総務省の方向性が変わった」。泉佐野市の担当者はそう話す。「市の厳しい財政状況を理解して一緒に頑張ってきた(返礼品を取り扱う)事業者との契約を、総務省に見直せと言われたからといって一方的に打ち切ることはできない」とため息をつく。
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