党首討論の「夜・隔週」開催は改革の第一歩だ 超党派の改革派議員が語る「国会改革」の要点

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7月5日に行われた第2回会合の様子(写真:「平成のうちに」衆議院改革実現会議)

――『文藝春秋』9月号で小泉進次郎さんが国会を党首討論、法案審議、スキャンダル追及の3車線にするべき、と提言しています。スキャンダル追及を切り分ける案についてどう考えますか。

浜田:これは、すごく難しい話です。基本的には予算委員会でテレビ中継があってね、やっぱりそこは追及の場として華々しいところですから、野党がそこでやりたいというのは分かりますよね。だから、今の状態でそれを区分けすることは、なかなか難しさがともなうと思います。スキャンダル追及の場にテレビを入れればいいのかもしれないが、そこは非常に難しいと思います。そこは時間をかけて話し合っていかないと。

逆に言えばね、予算委員会でも今、切り分けてやっているんですよ。森・加計の問題は切り出して集中審議というかたちでやっている。進次郎君の考え方は非常に分かりやすいんですけど、実際長くやってきた人間からすると、そんな簡単じゃないだろうなとは思います。

:私は与党の立場、野党の立場、両方経験しました。野党というのは行政府に問題があったときには厳しく追及していくことが1つの大きな役割です。どうしようもない問題であれば、大臣を辞任に追い込むつもりで攻めていく。

ただ、「予算委員会なのに予算のことを話してない」というのは、昔からあるテーマだと思います。だから進次郎さんが言うように、与野党が合意して別の場所ができて、そこで問題追求をやるのであれば、いいのではないでしょうか。これは、予算委員会のあり方をどうするか、ということを考えていく延長線上にある議論だと思います。

:小泉君の提言の1カ月ほど前に、国民民主党としては「調査特別委員会を設置すべきだ」というのを議長に申し入れました。野党もはなっから予算委員会でスキャンダル追及をやりたいと思っているわけではない。

通常国会が始まるときに外交、安全保障、経済、社会保障についてきちんと質問の準備をしているのに、スキャンダルが入ってくると、本来予定していた項目が飛んでしまう。スキャンダルに押されてしまうわけですよね。そのスキャンダルが燃え上がれば燃え上がるほど、本来審議する中身の時間はなくなってしまう。これは実は野党にとっても損なところがあるのです。

スキャンダルが起きると、そのスキャンダルへの対応で大変な思いをするのは、むしろ野党なんです。特別委員会が設置をされれば、おそらくスキャンダルですからマスコミも注目する。ですから、そちらのほうもテレビ中継、ないしは報道されるだろうと思うので切り分けることには賛成です。予算は予算でちゃんと審議をして、そこに注目が集まってほしい。さらに特別委員会があれば、そこが真相究明の場になると思うので、この両方が機能すればありがたいと思います。

もっと言うと特別委員会は、あえて野党が設置できるようにしたらいいかもしれない。いい加減なものを設置したら、それはそれで野党の姿勢が問われることになるので慎重に設置する必要があります。もし野党主導で設置をして、野党によるある程度の調査権限もあれば、森・加計問題も2年続くことはなかった。特別委員会であっても、これを与党が設置すると、結局その運営をめぐっては政権にダメージが起きないように考えるはずで、そうなると、逆に長期化しちゃう。

再発防止に力を入れるべき

馬場:日本維新の会も同じく「調査特別委員会を設置するべき」ということを議長に申し入れしたんです。国会の役目というのは立法府なんで、スキャンダルが起きたときには事実解明、原因究明も大事ですが、再発防止のための法律づくりがいちばん大事だと思うんですね。

追及チームの皆さん方見てると、もう検事とか刑事気取り。「それは違うやろ!」と声を荒げている。捜査権もないのに、そんなことをやっても事実が究明できるはずないんですけど、やっぱりテレビ映りもあるのでしょうし、そんなことを長いことされている先生もいるので、そうなってしまっている。あれは止める必要があります。国会は犯人を見つけるところじゃないんです。

自衛隊の日報のとか、いろんな公文書管理に関する問題でも「そういうことが二度と起こらないような手立てがされているか」と言えば、されていない。もっとスピードを上げて、「なるほど」と国民に思っていただけるような手立てというのが必要です。そして、そのことが国会の信頼回復につながっていくのだと思います。

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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