党首討論は通過儀礼?安倍首相「逃げ恥作戦」 「もり・かけ」疑惑拡大だが野党は決め手欠く
不快指数が高まる梅雨入りを目前にした永田町は、6月20日の会期末をにらんで与野党が激しい攻防を展開している。
森友・加計両学園問題で野党やメデイアの批判を浴び続ける安倍晋三首相や政権幹部にとって、正念場となったのが5月最終週の国会攻防だ。週明けの28日に衆参両院予算委での集中審議、30日には1年半ぶりの党首討論が実施され、「もり・かけ」疑惑での野党の厳しい追及に首相ら政府側は防戦を強いられた。しかし、野党の追及は決め手を欠き、昨年来の"逃げ恥作戦"に徹する首相らのガードを崩すことはできず、「疑惑は拡大しているのに、政権を追い込めない」(国民民主幹部)という歯がゆい状況が際立った。
攻防の主舞台となった集中審議と党首討論(国家基本政策委員会合同審査会)では、加計問題で「手続きには一点の曇りもない」、森友問題で「まったく関与していない」などと「壊れたテープレコーダー」(共産党)のように繰り返す首相に、野党側は決定打を放つこともできず、首相の表情には余裕すら漂った。
政府与党が最重要課題とする働き方改革関連法案も、月内衆院通過による今国会成立が確実視される中、首相は6月上旬からの連続的首脳外交で政権浮揚をはかり、国会閉幕後に9月の自民党総裁選への出馬表明をすることで、「3選モード」を加速させる戦略とみられる。
安倍首相は「愛媛文書」の加計氏との面会を否定
28日の予算委集中審議は午前に参院、午後に衆院で合計7時間余の質疑となった。最大の焦点は加計学園の愛媛県今治市への獣医学部新設をめぐって、同県の記録文書に明記されていた「2015年2月25日に首相と加計孝太郎同学園理事長が面会した」ということの真偽だった。
首相は新聞各紙の「首相動静」欄にも面会者に加計氏の名前がなかったことなどを理由に「その日に加計氏と面会したことはない」と否定した。野党側は民主党政権時の経験などから「首相動静に載らない面会はいくらでもある」(元官房副長官)などと攻め立てたが、明確な証拠もなく、首相の説明を覆すことはできなかった。
「愛媛文書」に記されたこの面会については、加計学園側が集中審議直前の26日、「(学園の担当者が)実際にはなかった面会を引き合いに出して、県と市に誤った情報を与えた」とするコメントを公表した。野党側は「この説明通りなら首相の名前を使って利益を得ようとしたのだから、首相が学園側に抗議すべきだ」と迫ったが、首相は「伝聞の伝聞だから…」などと交わし、同文書の内容についても「コメントしない」と繰り返した。
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