党首討論は通過儀礼?安倍首相「逃げ恥作戦」 「もり・かけ」疑惑拡大だが野党は決め手欠く

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首相は集中審議で、昨年来積み重ねてきた答弁の根幹が揺らぐような言動は徹底的に避け続け、野党側も「そんなはずがない」「そんなことはあり得ない」などの印象論よる攻撃を延々と繰り返したため、質疑は堂々巡りに終わった。ただ、「もり・かけ」疑惑に対する首相の説明については、各種世論調査でも「納得できない」との回答が圧倒的多数で国民の不信は拡大するばかりだ。

このため、集中審議で共産党の小池晃書記局長が「総理、もう嘘をつくのも(周囲に)嘘をつかせるのもやめようじゃないですか」と感情むき出しで抗議したが、首相は平然とした表情で、従来の答弁を繰り返してやり過ごした。

党首討論は「こま切れ」質疑で単なる通過儀礼に

これに続いて30日午後に開催された党首討論もまったく盛り上がらなかった。合計45分と定められた討論時間は枝野幸男立憲民主党代表が19分、玉木雄一郎国民民主党共同代表が15分、志位和夫共産党委員長が6分、片山虎之助日本維新の会共同代表が5分と、文字どおりの「こま切れ」となったためだ。

1番手の枝野氏は「もり・かけ」疑惑をテーマとし、まず森友問題で「首相が28日の集中審議において「関与の定義を収賄などに限定したのは卑怯だ」と挑発した。だが、首相は「すでに1年以上前から同趣旨の答弁をしている。言葉を選んで欲しい」と反論。ただ、枝野氏が問題視した昭恵夫人付きの政府職員が財務省に問い合わせた点については、「たしかに(話を安倍)事務所に回していただいたほうがよかったのかもしれない」と反省の素振りも見せた。

2番手の玉木氏は疑惑追及を棚上げして日米貿易の問題や北方領土返還をめぐる日ロ交渉について、論戦を挑んだ。その中で玉木氏はトランプ米大統領が日本製の自動車に25%もの高関税をかけようとしていることに対して、「中国と同様にWTO(世界貿易機関)を通じた対抗措置をとるべきだ」と迫ったが、首相は「我々は綿密に戦略を立てて対応している」と反論。さらに玉木氏が「日ロ交渉では経済支援の先食いをされているのでは」と指摘したが、首相は「外交交渉の内容を明かすことはできない」とすげなく交わした。

3番手の志位氏は「もり・かけ問題での公文書改ざん事件や虚偽答弁は、すべてあなた(首相)を守るため。嘘の答弁を(官僚らの)嘘で辻褄合わせした結果だ」と口を極めて批判したが、首相はまったく取り合わないまま時間切れとなった。

党首討論では首相答弁に野党席からヤジが飛ぶ場面もあったが、討論が白熱する場面はほとんどなかった。討論終了後に玉木氏らと首相が笑顔で握手した場面に象徴されるように、「緊迫感より通過儀礼の政治ショー」の印象は拭えず、1年半ぶりなのに党首討論の形骸化ばかりが印象に残った。

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