「国民民主党」先祖返り、小池都知事も「無念」 「改革保守」捨て「中道・左派連携」に活路か

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国民民主党の共同代表・大塚耕平氏(左)と玉木雄一郎氏(右)。高揚感なきひっそりとした船出だった(写真:共同)

大型連休明けの7日、国民民主党が旗揚げした。当初目指した旧民進党系の大結集とはならず、衆議院・参議院合わせて62人という中規模の野党第2党にとどまった。「本格的な政権政党」という掛け声がむなしく響く高揚感のない新党結成となった。通常国会での与野党対決のさなかの新党騒ぎに国民の視線は厳しく、野党合流につきまとう路線対立も残したままの多難な船出だ。

連休前には永田町に電撃解散説が流れて政局が一時緊迫したこともあり、次期国政選挙への態勢づくりが新党の最優先課題となる。特に、現状のような"バラバラ野党"では、安倍晋三首相を支える巨大与党を倒せないのは自明の理。まずは、昨秋の「希望の党」結党で目指した「政権交代可能な改革保守」の理念は捨てて、「中道・左派大結集」に活路を求めるしかないとみられるが、「数合わせの選挙互助会」との批判は免れそうもない。

民進党と希望の党による新党「国民民主党」設立大会は7日午後、都内のホテルで開催された。両党の所属国会議員数は合計107人だったが、新党参加者はその6割弱の62人にとどまった。民進は常任顧問の岡田克也元副総理や野田佳彦元首相、参院議員会長の小川敏夫元法相ら重鎮組が参加せず。また、希望は結党メンバーの細野豪志元環境相や松沢成文参院議員(元神奈川県知事)らが不参加となった。

新党参加議員の内訳は衆院39人、参院23人。野党勢力での衆院第1党の立憲民主党を超えることはできなかった。参院では自民、公明両党に次ぐ第3党となり、野党第1党は維持したものの、不参加組が立憲民主入党か同党との統一会派を組めば、こちらも野党2党に滑り落ちる可能性が大きい。

62人では「立憲民主を太らせただけ」に

このため、民進・大塚耕平、希望・玉木雄一郎両代表の目指した「野党の大きな塊」にはほど遠く、数も理念も中途半端な新党結成には、「立憲民主を太らせただけ」(民進系無所属有力議員)との批判も渦巻く。立憲民主党の福山哲郎幹事長は5日、国民民主党誕生後も衆参合計の議員数で立憲民主党が野党第1党である状況は変わらないとの観測を示したうえで、「(新党に参加せず)立憲民主党に入党したいと言っている方も何人かいる」として、衆参両院での野党第1党確保に意欲と自信をにじませていたが、これを裏書きした格好だ。

設立大会では、当面、民進・大塚耕平、希望・玉木雄一郎両代表が新党の共同代表として党運営に当たることを確認し、大塚氏が古川元久幹事長、泉健太国対委員長などの新役員人事を発表、承認された。設立大会で了承された党綱領には「国民が主役の中道改革政党」を掲げ、基本政策には「2030年代原発ゼロ」や、安全保障関連法の「違憲と指摘される部分を白紙撤回することを含め、必要な見直しを行う」などが盛り込まれている。

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