政策もズレてきた安倍政権、「幕引き」への道 3つのシナリオ、連休前後に流れが決まる

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もり・かけ、自衛隊の日報隠し、財務事務次官のセクハラと疑惑や不祥事が相次ぎ、動揺は収まらない(写真:ロイター/Toru Hanai)

「もり・かけ」に自衛隊の日報隠し、さらには財務事務次官のセクハラと問題が相次ぎ、安倍晋三政権の動揺は収まりそうにない。9月に予定される自民党総裁選での3選も、黄信号から赤信号に変わりつつある。政権はなぜ窮地に追い込まれたのか。今後の展望はどうなるのか。

「常識的な初期対応をしていれば、こんな騒ぎにはならなかった」と、ある自民党の閣僚経験者は森友・加計学園問題を振り返る。

大阪・豊中市の国有地を森友学園の小学校用地として格安で払い下げたことが発覚したとき、安倍首相が昭恵夫人に小学校の名誉校長を直ちに辞めさせて、払い下げの経過を調査させるといった「常識的な対応」をしていれば、これほど大きな事件には発展しなかったというのだ。実際には、首相は自身や昭恵夫人が払い下げにかかわっていれば首相も国会議員も辞めると断言。大きな政治問題になっていった。

加計学園の問題はどうか。大学新設の許認可を申請している加計孝太郎理事長は政府の利害関係者。だから安倍首相は、加計氏が「腹心の友」であっても首相在任中はゴルフや会食などは慎む、大学の許認可は延期するという「常識的な対応」を取っていれば、これほどの問題にはならなかっただろう。

衆参両院の国政選挙で圧勝を続け、政権も5年を超える中で、「驕り」や「慢心」が出て一連のスキャンダルにつながったのは間違いない。

経済や外交も転換点、政策もミスマッチに

政策も時代とのミスマッチが目立つようになってきた。

アベノミクスの金融緩和は、米国が着々と進める金融緩和策からの「出口戦略」と乖離してきた。裁量労働制の対象拡大を含む働き方改革も、「長時間労働の是正が先決」という流れとは懸け離れ、関連法案から裁量労働制に関する部分を削除する事態に追い込まれた。

北朝鮮問題では、「圧力」重視で臨んできたが、韓国が「対話」を推進、トランプ米大統領も米朝対話に動きだした。

財務省の福田淳一事務次官のセクハラ問題では、本人が否定を繰り返した。財務省側の「調査」では、被害者に名乗り出ることを求め、麻生太郎副総理・財務相も問題に真摯に向き合う態度とは程遠い。財務省も麻生氏も「上から目線」の対応が続いた。セクハラには厳しい世論の批判を浴び、政権全体のマイナスイメージに直結した。

安倍首相は、総裁選で3選を果たし9年間の超長期政権を樹立することを視野に入れたのだが、「国民の飽き」(自民党の派閥領袖)は顕著になってきた。

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