「愛国心」育成狙う日本政府の危うい教育方針 海外メディアは日本をこう伝えている
日本を再び「偉大な国」にしようとしている
東京大学大学院教育学研究科の教育社会学者、本田由紀教授は、日本の義務教育制度において国家が後押しする権威主義の台頭を懸念している。学習指導要領において愛国心が教えられていると危惧しているのだ。
高校を皮切りに今後数年にわたって、新学習指導要領が導入される予定だが、子どもたちには第2次世界大戦、また、それ以前にも増して類を見ない形で国へ貢献するよう、さらに大きなプレッシャーがかけられるかもしれない。「その目的は生徒の能力を育てるのではなく、日本を再び『偉大な国』にするために人々を利用しようしている」と本田教授は指摘する。
本田教授は、安倍晋三首相が教育勅語の精神の復興を望んでいることを危惧している。教育勅語とは1890年に明治天皇が発布した315文字による教育に関する布告で、当時多様化していた日本国民を統一するためのものだった。
具体的には、「万一危急の大事が起こったならば、大義に基づいて勇気をふるい一身を捧げて皇室国家の為につくせ。かくして神勅のまにまに天地と共に窮りなき宝祚(ほうそ)の御栄をたすけ奉れ(=緊急事態が発生した場合、勇気を持って国家に身を捧げよ。そうすることで、天地と共にある我々の皇位の繁栄を守り、維持せよ)」と書かれている。
大日本帝国の戦争指導者は第二次世界大戦中、軍国主義へ青年を決起させるためにこの主張を採用。生徒はこれを暗記し、学童の間で忠誠心、親孝行、愛国心が促された。
本田教授は、3つの同心円を描き、その中心を差して日本全国の学校のうち、1~2割程度が超国家主義的であると解説。この中には、地域的に国家主義的なところが含まれている。加えて、その外側にあたる全体の2~3割程度は権威主義的な学校だと見ている。「全体主義は日本の学校教育でよく見られる特徴だ」と同教授は話す。
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