「愛国心」育成狙う日本政府の危うい教育方針 海外メディアは日本をこう伝えている
全体主義の例として、毎日、生徒に厳しい練習を課す部活動がある。中学校では、スポーツ系部活の約半分が、活動頻度が高すぎたり、教師による体罰が行われていたりと「ブラック的」な性質を持つと言われている。教師と生徒は大会で勝つというプレッシャーがあるため、練習を「緩める」ことができないのである。
また、毎日新聞は先日、「ブラック校則」なるものがここ40年でピークに達していると報じた。中には、生徒が眉毛を剃るのを禁止したり、下着の色を規制するものまである。「問題は全体主義の特徴を持たない学校でさえ、厳格な規則が存在することだ」と本田教授は話す。
1クラスの人数が多い理由
厳しい指導が行われる理由の1つは、大人数のクラスを維持するためだ。1クラスあたり生徒数30〜40人というのは、OECD(経済協力開発機構)の国々の中でも最大規模だ。
クラスでは、生徒たちは皆と同じように振る舞うことが求められる。教師はたいていの場合、「ほかと歩調を合わせられない生徒を良く思わない」と本田教授。1学級の人数があまりにも多すぎるため、個別に指導できないからだ。
厳しい指導が行われるもう1つの理由は、生徒たちを「よい大学」に入れるためだ。一流大学に入るための競争は、大学志望者数が急増するにつれ、第二次世界大戦以降急激にエスカレートした。1953年は、高校に進学するのは全生徒の半数ほどで、大学に入学するのは約1割だった。現在では、ほぼすべての生徒が高校に進学し、約6割が大学に進学している。一流大学の競争率は依然高い。
学校における厳しい指導は極右政治家により促されている。そうした政治家は学習指導要領への取り組みにおいて70年にわたり主導権を握っている。日本の義務教育制度における国家主義の歴史的な発展については、テンプル大学ジャパンキャンパス・アジア研究ディレクターのジェフ・キングストン教授が以下のように説明している。
1945年に日本が降伏した後、日本の行政機関を占拠していた米国は、学校での国家主義を抑圧した。連合国軍最高司令官総司令部(SCAP)は、日本が再び軍国主義にならないよう予防したかったのだ。
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