「日本国籍」取得した元米国人の斬新な本音 国籍とはもっと柔軟な概念であるべきだ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
日本国籍を取得した元米国人が「国籍」について語る(写真:みっきー / PIXTA)

私は昨年12月に日本人になった。もともとは米国人で、日本人の先祖すら持たない米国の家庭に育った。日本人になることを選んだと同時に、二重国籍を禁じる日本の法律に従い、米国国籍を放棄した。世界中の多くの人が欲しがる米国国籍を「あきらめた」ことに多くの知人がショックを受ける一方で、私と似たような人生を送ってきた人々にとってはまったく驚きに値しなかったようだ。

通信や輸送技術が発達した今日では、世界はかつてよりずっと小さくなり、外国が近く感じられるようになっている。その結果、自分がルーツを持たない国で新しい国籍を取得しようとする人々が少数ながら増えていると感じる。

国籍を変更する理由とは?

国籍を変更する理由は何だろうか。私の場合、その答えは簡単だ。私には日本に子どもがいて、日本を拠点とするキャリアがあり、大人になってからのほとんどの時間を日本で過ごしてきた。いまや故郷より日本のほうがしっくりくるほどだ。それに、安全や保護の観点から見ても、永住ビザより国籍のほうが保障される気がする。

過去にも日本国籍を取得した有名人は何人もいる。名高い学者であり、作家・翻訳家であるドナルド・キーン(通称=鬼怒鳴門)は、その1人だ。また、明治時代に活躍した国際的作家の小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)や、国籍取得後、弦念丸呈となったフィンランド出身のツルネン・マルティは、 国会議員を務めた。しばしば論争の的になる人権活動家の有道出人(デイヴィッド・アルドウィンクル)は2000年に日本国籍を取得。タレントのボビー・オロゴン(近田ボビー)のほか、多くのスポーツ選手も日本に帰化している。

もっとも、日本国籍を取得する人の誰もが、花形スポーツ選手や有名人、文豪、政府関係者というわけではない。福岡在住の英国人男性、Pさんも有名人ではないが、帰化を希望している1人だ。彼は実利的、そして思想的信条の理由から国籍変更を決心した。「私には日本人の子どもが2人いて、日本以外で暮らす未来は考えられない。私は今後も日本に住むと決めている」。日本に長く暮らし、日本でキャリアや家族を持つにつれ、故郷の重要性は徐々に薄れていったのだという。

次ページ日本国籍を得るにはどんな手順を踏むのか?
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事