「国民民主党」先祖返り、小池都知事も「無念」

「改革保守」捨て「中道・左派連携」に活路か

政治戦略からみれば、「改革保守」を捨てる以上、政権交代可能な政党づくりには、中道・左派の大結集が有力な選択肢となる。現在の自公政権は、首相を中心とする自民右派に、中道寄りの自民左派や公明党が付き従う「右派・中道」の構図だからだ。これに対抗するためには、政治理念や基本政策は「中道・左派」とせざるを得ない。必然的に、双方が引っ張り合う中道勢力の左派寄りが新党の立ち位置となるからだ。

今回、「数合わせには乗らない」と民進系再結集を拒否した立憲民主の枝野代表だが、民進党幹事長時代には共産党を含めた選挙協力の推進役だった。ここにきて、枝野氏が相談相手として頻繁に意見交換しているのは小沢一郎自由党代表だ。自公政権打倒のための中道・左派総結集が持論の小沢氏が主張するのは、国政選挙でのいわゆる「オリーブの木」構想だ。

各党がそれぞれ別個の政党として活動しつつ、選挙区では「統一候補」、比例選は「統一名簿」で戦うという構想だ。共産党の一定の協力も必要となるが、小沢氏は志位和夫同党委員長との突っ込んだ協議も続けているとされる。そうなれば、現状では「犬猿の仲」の連合と共産の相乗りも可能となり、資金は立憲民主と国民民主、組織は連合と共産という「大同団結」が成立する。前回参院選や昨秋の衆院選での部分的な「野党統一候補」の戦績は与党候補を凌駕しており、自民党にとっても大きな脅威となるのは間違いない。

そうした中、来夏の参院選に向け、共産党は改選数1の「1人区」での公認候補擁立を着々と進めている。他野党の混乱を見越して「野党統一候補」に先手を打つことで野党共闘での主導権を確保する狙いからだ。これに対し、国民民主の共同代表となった大塚氏は「(政権交代した)2009年の時は、300小選挙区のうち150で共産党は(候補者を)立てなかった。だから、ときどき政権交代を起こすという共通の目標に向かって、共産党にも協力してもらいたい」と秋波を送っている。

今回の国民民主党の結党でも、中央政界は自民、立憲、国民、公明、共産、維新、自由、希望、社民という多党乱立が続くことになる。そのうち、党名に「民主」が含まれるのは4政党で、なにやら「民主の大安売り」(自由党)ともみえる。一方、憲法改正への対応で各党を色分けすると、改憲派が「自公維希」、慎重・反対派が「立国共由社」となるが、勢力比は圧倒的に改憲派だ。となれば、次期国政選挙の最大の争点は「改憲の是非」となるが、国民民主の参加議員をみると、実質的な改憲派も少なくない。これをみても、野党勢力の“ねじれ”が自公政権の安定化につながっていることも浮き彫りにしている。

「国民」連発もいきなり「水入り」に

7日の新党「国民民主党」の設立総会は約1時間で終了した。会場を揺るがす拍手喝采や野次もなく、淡々と議事が進行した。大塚、玉木両代表のあいさつも含め、登壇者のすべての発言には「国民の手に民主主義を取り戻す」「すべては国民のため」などと「国民」という言葉があふれていた。しかし、メディアの報道ぶりは極めて地味で、同日午後の民放テレビ各局の情報番組で大きく取り上げたところもなく、ほとんどが政治ニュースとして短く伝えただけだった。昨年9月の「希望の党」結党時の「全局実況中継」とは様変わりだ。他党からは「国民という言葉が空回りしていただけ」(自民幹部)と揶揄された。

7日の東京は五月晴れが続いた連休中とは一変して、荒天となった。このため、新党旗揚げを受けて同日午後に有楽町や秋葉原で予定されていた新執行部のお披露目も兼ねた街頭演説会も延期となった。永田町では「いきなりの水入りが、新党の未来を暗示している」との声も広がっている。 

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