「国民党」旗揚げだが、「俺たちに明日はない」 再分裂を招き、国民の期待を裏切る形に
多くの国民が心を躍らせる大型連休を前に、国会では与野党の泥仕合が混迷を極めている。そのさなかに、難産の末にようやく旗揚げするのが「国民民主党」だ。「政権交代の受け皿になる大野党」が錦の御旗で、昨秋の衆院選前に分裂した旧民進党系議員たちの「再結集」が大目標。しかし、旧民進党系で衆院選後に野党第1党となった立憲民主党にはあっさりと袖にされ、残った民進党と希望の党の合流にも多くの議員が反発して、両党とも再分裂必至という「国民の期待を裏切る形」(希望幹部)での新党旗揚げを余儀なくされそうだ。
約半年にわたって新党結成を目指してきた民進党と希望の党は、民進・大塚耕平、希望・玉木雄一郎両代表が24日の党首会談で、安全保障やエネルギーなどの基本政策で合意し、新党の名称を「国民民主党」(略称「国民党」)とすることを決めた。
これを受けて両党はそれぞれ党内手続きを進め、大型連休前の両党代表の調印式を経て、連休明けにも新党結成大会を開催する方針だ。この新党「国民民主党」は当面、大塚、玉木両氏が共同代表として党運営や国会対応に当たり、9月にも代表選を実施して新党首の下で本格的に執行部を発足させる段取りを想定している。
新党旗揚げに当たり、大塚氏は「国民主権、国民生活、国民経済を守り、発展させていくため、『国民民主党』という党名を決定した。民主的な手続きを重んじて運営していく」と表明。玉木氏も「国民が第1の政治を目指すため、ゼロからスタートするという思いで、新しい党名のもとに力を結集させ、国民のための政治を実現していきたい」と語り、それぞれ「国民」をキーワードに政権交代可能な政治体制構築への意欲と決意を強調した。
衆参両院で野党第1党逃す公算も
永田町が注目するのは、この新党が巨大与党に対抗できる「大野党」になるための最初の関門とされる、衆参両院での野党第1党になれるのか、という点だ。現在の民進系野党の議員数は、民進53人(衆院12人、参院41人)、希望54人(衆院51人、参院3人)、立憲民主63人(衆院56人、参院7人)でまさに「どんぐりの背比べ状態」(自民幹部)だ。
野党勢力でみれば参院は民進が第1党だが、衆院は僅差で立憲民主が第1党で、国会運営をめぐる与野党折衝では立憲民主の辻元清美国対委員長が野党代表で森山裕自民党国対委員長と対峙している。現時点で民進、希望両党の所属議員合計は衆院63人、参院44人で、ほぼ全員が新党に結集すれば、衆参両院での野党第1党になれる。
しかし、新党旗揚げへの経緯や、基本政策をめぐる意見対立に加え、民進党分裂以来の感情的軋轢(あつれき)もあって、新党発足時には両党合わせて30人前後の脱落者が出る見通しだ。このため、国会運営での野党リーダーになるための衆院野党第1党は困難視される状況で、さらに今後の展開次第では、現在の参院野党第1党の地位を失う事態も想定されている。
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