財務省「2トップ」不在、国会混迷の異常事態

最強官庁の解体論も飛び交い政権危機深まる

福田財務事務次官の辞任を閣議で了承したと発表したが、またも物議をかもす発言を繰り返した麻生太郎財務相(写真:ロイター/Yuri Gripas)

森友問題での公文書改ざん事件や口裏合わせに続く現職事務次官のセクハラ疑惑発覚で、財務省の存在そのものが問われている。中央官庁が集結する霞が関に君臨する「最強官庁」が起こした大スキャンダルの連鎖に、永田町では「財務省解体論」まで飛び交っており、安倍政権の今後の経済財政運営への悪影響も避けられそうもない状況だ。

世の女性たちの怒りを買ったセクハラ疑惑を受けて、政府は24日の閣議で、当事者となった福田淳一財務事務次官の辞任を了承したが、「人心一新」のための幹部人事断行は先送りした。セクハラ疑惑や森友問題での改ざん事件など相次ぐ不祥事での省内調査に加え、関係者処分につながる大阪地検の捜査が継続中のためだ。改ざん事件ですでに空席となっている国税庁長官と合わせ、財務省は事務方2トップが不在という前代未聞の異常事態に陥った。

こうした財務省の大失態は、同省を率いる麻生太郎副総理兼財務相の進退問題にも発展し、野党側は麻生氏辞任を求めて国会での審議拒否を続けている。安倍晋三首相ら政府与党首脳は、公文書改ざんなどの再発防止策の策定までを麻生氏に委ねるとの理由で、財務相辞任には応じない構えだが、内閣支持率が続落する中、与党内にも「このまま与野党の泥仕合が続けば、安倍政権の存続も難しくなる」(自民幹部)との危機感が広がる。

事務次官辞任は「大蔵省接待汚職事件」以来

テレビ朝日女性記者への露骨なセクハラ言動を『週刊新潮』に暴露された福田氏は、セクハラ自体は否定しつつも「職務遂行が困難になった」との理由で18日に麻生財務相に辞表を提出していた。これを受け、政府は24日午前の閣議で福田氏の次官辞任を了承した。ただ、後任次官の人事は先送りし、矢野康治官房長が次官を兼務することも決めた。事務次官が任期中に辞任するのは1998年の「大蔵省接待汚職事件」以来20年ぶりだ。

すでに、3月9日に森友問題での改ざん事件の責任をとって辞任した佐川宣寿前国税庁長官の後任も、藤井健志国税庁次長が兼務している。財務省の事務方は次官、財務官、国税庁長官が省のトップとなる次官級3ポスト。3月末に2018年度予算が成立しているとはいえ、「トップ2ポストが不在では、財務省が機能不全に陥る」(財務省OB)との不安は拭えない。しかも、福田氏の場合はセクハラ疑惑を否定して裁判で争う意向を示していることもあり、財務省は辞任に当たっての処分を見送った。

麻生財務相は「今後の調査結果次第では懲戒処分もありうる」として、約5300万円とされる退職金支給も「留保」したが、野党などが要求した懲戒免職による退職金返上の可能性はほとんどない、とされる。佐川氏も一部減額処分となる約5000万円の退職金支給は留保中だが、経済界などからも「民間企業では考えられない甘い処分で、税金のムダづかいだ」(大企業役員)との批判が相次ぐ。

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