党首討論の「夜・隔週」開催は改革の第一歩だ 超党派の改革派議員が語る「国会改革」の要点

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:本人の意思確認がとても重要で、そこをどう乗り越えるかっていう課題はあるように思います。議場において党議拘束が外れるような法案があれば、議場での咄嗟の判断が問われる。そういうときはどうするか。もちろん、あらかじめそうしたケースも想定したうえであらかじめ意思を決めておかなきゃいけないっていうことになるでしょうけど。

――委託先を議員に限定してしまうと、仲間がいない無所属議員は厳しい。直接事務局に自分の賛否を明らかにしておくという方法もありかもしれない。あるいは議員ではなく秘書を代理として立てることもありえるかもしれません。

浜田:手段は、これからの検討課題です。

――国会改革をまずは3つのテーマから進めるわけですが、ほかにも重要なことはありますか。

浜田:制度改革も大切ですが、意識改革がないとダメだな、と思っています。議会というものが「一体何で成り立っているのか?」というところに立ち返らなければいけない。制度を変えることも重要ですが、それだけでは国会は変わらない。まずは国会議員の意識改革が必要です。

たとえば圧倒的多数の与党から委員長になった際にも、あからさまに与党に有利な議事の進め方をしてはならない。中立な立場でいようと、どこまで強く思えるかが大事であり、私自身も委員長としてその心構えを持ってきました。しかし、それができていない委員長が増えています。このあたりの確認はきちんとしたほうがいいのかなと思います。

:先ほど申し上げたように、平成26年の合意に立ち戻っていくことが大切です。その意識を持って実行していくだけでも、かなり国会は変わっていくと思うんです。平成の次の時代へ向けては、さらに抜本的な改革も必要になるわけで、まず1つでも2つでも実行をしていくことが大事だと思っています。

泉 健太(いずみ けんた)/衆議院議員(国民民主党)。衆議院 議院運営委員会 野党筆頭理事、国民民主党 国会対策委員長。福山哲郎参議院議員秘書を経て、2003年、衆院選京都3区にて初当選、現在6期目。民主党政権では内閣府大臣政務官を務めた(撮影:風間仁一郎)

:国対をやっているのでわかるのですが、与野党交渉っていうのは非常にスリリングで興奮もするんです。だけど、国対を担当している国会議員たちがそこを楽しんでいるようでは国会改革は進みません。提言のなかにも入れているのですが、質問通告を早くしたい。要は役所の無駄な負担を減らしたい。前日に委員会がセットされるから、すべてそこから始まってしまう。やっぱり少なくとも委員会設定は、前々日までに行わねばならない、とするべきです。

国会法に書きこめば、有無を言わさないものになる。どんな緊急な課題が起こっても熟議をするためには次の日に委員会で取り上げるのではなく、すべて翌々日の委員会しか認めないとなれば、質問通告だって全然変わってきます。僕は、これはもう思い切ってやるべきだと思います。夕方6時になってようやく次の日の委員会が決まるというのは普通ではない。

――それこそが戦術だと考える議員も多いかもしれない。

:もちろん、ギリギリまで最善の策を考えた結果、日程が決まるのがどんどん遅くなっていく、という説明は、それなりの説得力があります。与党も野党もギリギリまで考えるわけですが、そこにリミットを設けましょう、ということです。これまでは期限が設定されていなかった。交渉がいつまでも続くことが、ある意味国会の醍醐味というところもあったのですが、それもそろそろ変えなきゃいけないと思うんですね。

身を切る改革をもっと進めるべき

馬場:これは学校で言ったら時間割は決まってるのに、その時間にその授業をするかもしれないし、しないかもしれない、という状態なんです。「明日もわかりません、明後日もわかりません」という状態って普通ではない。

抜本的に改革するためには、通年国会にするべきです。そして定例日の定刻に委員会を開けばいい。そういうふうにしないと、会期末になってくると恒例行事が始まってしまう。そういうのはやっぱり国民から見て「何をしてるんやろ」という感じになると思います。

さらに私からもぜひ進めるべき改革を挙げたいのですが、やっぱり無駄を切る、身を切るという部分だと思います。委員長になれば委員長手当、会期中は土曜日でも日曜日でもずっと付いている。これは一般的な常識から考えておかしい。会期中にまともな議論が1回もなされないような特別委員会もある。そういうことがずっと続いているのに放置していていいのか。

特別委員会については毎会期ごとにスクラップアンドビルドして、不要になった特別委員会を廃止したほうがいい。そういうことを定例化しないと、無駄の上に無駄を積み重ねていくようなことが起こっているように思います。

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