木本:世界中でも目撃例は、何千匹程度かもしれないんですね。
沼口:高次捕食者ですから、そもそも個体数が多いはずがないので。
木本:ホホジロザメもゲームフィッシングでやられたんですか。
沼口:『ジョーズ』の公開後にかなり殺されたみたいです。その後、アオザメもホホジロに似ていて、ボディも青くてスリムで、ルアーフィッシングでかかるとバーンとジャンプするんで人気があって、ゲームの対象でかなり殺られました。
木本:釣りをする側からすると、ジャンプする魚は面白いんですよ。シイラとかはハマるんですよね。
沼口:それを見たいという気持ちはわかるんですが。
木本:人間のエゴによって絶滅種のサメを生んでいるとは考えもしませんでした。深刻な問題ですよね。
サメの悲劇は水産資源としての価値の低さ
沼口:ニホンウナギ、クロマグロなどは、「このままでは激減して食べられなくなる」と、近年、ネットやメディアで報道されつつありますが、サメは一部でしか食べられておらず、メジャーな水産資源ではありません。相対的に価値が低いので、それらの魚と比べてもわざわざ報道される機会が少ないんです。
木本:確かにそうですね。サメはビジネスとしてはそんなに価値がない。サメの本を書くにあたってもそれほど需要は期待できなかったと思うんですが、こんなに売れると想像していましたか。
沼口:いくつかの出版社から興味を持ってもらいましたが「企画会議で通りませんでした」も多くて(苦笑)。唯一、講談社さんが「いいんじゃない」と通してくれました。いま6刷が出て、「奇跡的だなあ」と思っています。
木本:1回目(誤解され続けているサメの知られざる正体)に話しましたが、「話題の本」なのを知っている人がいましたからね。そういう広がりがいちばんですよね。ニュースじゃないからロングセラーになりそう。
今回、話を聞いて、サメのフィギュア欲しくなりました。沼口さんはシャツもパンツも全身サメずくめですね。イヤリングもピアスもそうだ! 差し歯もサメの歯にしたらいいんちゃいますか(笑)。サメの歯は昔から装飾に使われていたんですか。
沼口:パプアニューギニアを訪れたとき、民族衣装をきて山奥から海辺に出てきた方が、サメの骨をビーズにしていたのは興味深かったです。もっともっと深く取材したいですね。
木本:沼口さんのように、好きなものが1つはっきりしているのは羨ましい人生ですよね。
沼口:はい、夢中になれることを見つけられてよかったです。イルカにしなくてよかったなと。
木本:イルカで生きている人もうらましいですけどね。今日はありがとうございました。
(構成:高杉公秀)
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