人間はサメとどのように共存していくべきか 多くのサメが絶滅の危機に直面している

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木本武宏(きもと たけひろ)/タレント。1971年大阪府生まれ。1990年木下隆行とお笑いコンビTKOを結成しツッコミを担当。2006年、東京へ本格的進出。S−1バトル優勝、キングオブコント総合3位などの受賞歴がある。現在は、ドラマやバラエティなどピンでも活躍中(撮影:尾形文繁)

木本:これからサメと正しく付き合うにはどうしたらいいのでしょう。必要以上に獲らないことも1つでしょうけれど。

沼口:サメは人を食べる生き物だから殺すべきだという時代がありました。ゲームフィッシングでたくさん殺されました。皆さんに正しいサメの知識を伝えていかなければいけません。サメは決して「怖い」生物ではなくて、しかも、この地球上に500種以上もいて、手のひらサイズの小さなツラナガコビトザメから17m超のジンベエザメまで、繁殖形態から、食性まで多種多様であることを知ってほしいですね。その生物を正しく理解することが、共存の第一歩ではないでしょうか。

木本:フカヒレの値段を上げて消費を抑制してもいいんじゃないでしょうか。だんだんポピュラーになっているように思うので。

沼口:フカヒレ問題は複雑で、私もすべてを把握できているわけではありません。フカヒレは種類によってランクもあり、値段も違います。日本では流通しているフカヒレのサメはヨシキリザメが多そうです。

この種は、絶滅の危険もなく、資源も豊富との研究結果が出ています。ヨシキリザメの次に高級なのはアオザメやネズミザメ、シュモクザメでしょう。最上はジンベエザメやウバザメなどの大型サメ類です。中国では億単位の商談をするときに、高級なフカヒレを出すことが商談成立の証しだという文化があります。これらのサメは今、絶滅危惧種に評価されています。フカヒレ1枚が何百万円だそうです。ひと抱えできないようなお皿に出されるそうです。味は劣るんですが、大きさと見た目の大きさに価値があるようです。

木本:なるほど、関西のある女性司会者からも質より大きさ重視で人気だと聞いたことがあります。でもやっぱりサメって、大きさといいシルエットといい、怖いです。

沼口:歯も鋭いですしね。

木本:特に、ホホジロザメは、映画の『ジョーズ』のせいで人食いザメっぽくて怖かったんですが、絶滅危惧種と言われると急に愛しい存在に思えてきます。

ホホジロザメは一生に一度出会えればラッキー

沼口:私もホホジロザメに会いたいんです。でも遭遇できる確率は低くて、仮に80歳まで生きるとして、毎日海に行っても会えない可能性がある。

木本:そんなに低いんですか。

沼口:ダイバーにとってはあこがれのサメです。この前、沖縄でダイブしている人が遭遇できたらしく「持ってるね、ツイテルね!」と言われていました。宝くじに当たるくらいの確率です。

ホホジロザメの個体数はわかりませんが、日本近海では6月に目撃されることがあります。出産シーズンだからでしょう。東京湾や遠州灘の定置網にかかることがあって、「ああいたね」というくらい。年間1、2尾ですね、報告があるのが。

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