サメはどのようにして生まれ育っていくのか 「知られざる生態」の基礎知識

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木本:面白いと思ったのは、右側の交接器は左へ、左側は右へ動きやすいそうで。交尾は横に並んで泳いでするんですか?

沼口麻子(ぬまぐち あさこ)/1980年、東京都生まれ。東海大学海洋学部卒業後、同大学院海洋学研究科水産学専攻修士課程修了。IT企業のプログラマーとして8年間の会社員生活を送ったのち、世界で唯一のサメジャーナリストとして独立。静岡県焼津市をベースに、サメの情報を発信し続けている。専門学校の講師、雑誌連載、ブログなどで「隠れサメ好き」の発掘に余念がない。2018年5月『ほぼ命がけサメ図鑑』を上梓(撮影:尾形文繁)

沼口:サメにもいろいろありますが、メスがオスの左にいるときは右側を曲げて交尾するようです。あ、メスの生殖器も左右にふたつあります。ですが、メスも簡単には入れさせてはくれず、オスがメスにかみ付いて、押さえて動けない間に交接器を挿入します。

木本:かみ付く理由も諸説あって、もう1つは……。

沼口:性的ホルモンがかむことによって出るんじゃないかという説ですね。

木本:かまれたメスも性的興奮が高まると。基本的にサメのメスはドMなんですね(笑)。

沼口:交尾が終わったメスはボロボロで、死んでしまうんじゃないかと思うくらい。1年で回復するらしいんですが。

木本:メスの魚体を見るとわかりやすい。

沼口:交接経験があるかどうかは傷を見ればわかります。

木本:傷があるほどモテるサメなんですね。ほかにサメの生き物としての面白いところはどこでしょうか。

1.5mの大きさで生まれるホホジロザメ

沼口:サメの生殖の話になったので、サメがどうやって子どもを産むか、という話をしましょう。サメは魚類です。魚類といっても、サメは軟骨魚類。さて、そのサメの中でも3割が卵で生まれ、7割が胎生、つまりサメのミニチュアというか赤ちゃんがそのまま出てきます。ホホジロザメは1.5mの赤ちゃんを10匹ほど産みます。歯も生えていて、すぐに狩りができるんです。それだけを見ればサメは哺乳類と錯覚しますが、軟骨魚類なのです。

木本:軟骨魚類なんですね。一般的なマグロ、サバ、イワシは?

沼口:硬骨魚類です。サメはすべての骨が軟骨でできています。硬骨魚類は一部が軟骨なだけです。

木本:軟骨だけということは小骨がないんですね。

沼口:頭蓋骨から背骨があって、ヒレのところに軟骨があるだけで、それ以外は筋肉で、いわゆる鮫肌に覆われているのがサメです。

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