埼玉西武・秋山翔吾、30歳を迎えた侍の原動力 記録を期待される今、励みになっていること
プロアスリート、特にプロ野球選手においては「数字」が顕著にはじき出され、評価基準として常につきまとうことになる。
それは秋山にとって、自身のバロメーターとして現在進行形で意識する「尺度」なのか、それとも後から振り返るだけの「結果」に過ぎないのか。
「絶対に意識しないといけないものではあります。数字にこだわれない選手は、上には行けないと思っています。まわりに認めてもらうための大事な指標ですからね。でも、それだけにとらわれるということはありません。数字に表れない貢献度というのも確かにあって、それを見てくれている人もいますから」
開幕8連勝も、「このままうまくいくわけがない」
西武は今シーズン、27年ぶりとなる開幕8連勝を記録。4月には貯金10となり、その快進撃が話題となったが、秋山の目は冷静だった。
「昨年きっかけをつかんだ若い選手がレギュラーで起用されるようになって、勝ちが進んでテンションが上がって、勢いのまま行けたのが3月の開幕から4月にかけて。勝つから当然やりがいを感じるし楽しい。チーム全体として4月はそういう時期でした。でも、実力で勝っている感じではなかった。
シーズンを何年か経験してきた僕には『このままうまく行くわけがない』という思いもあって、浮かれることはできなかったですね。おそらくチームの中で、僕はノリが悪かったほうだと思います」
長いシーズンには流れがあり、4月に貯金が10できたとしても、5月も10、6月も10、そのまま9月までに貯金60と、単純計算ができるわけではない。実際5月に入ってから、他球団に警戒されることで数字を落としていった選手が出てきたことに、秋山はすぐに気づいた。
「このまま行けるんじゃないかというチームの勢いをへし折られたのが5月でしょう。4月には3割だった打率が、5月が終わった時点で2割8分、7分まで落ちている選手もいました。
シーズンを経験していない選手にとって、5月は開幕からの疲れが出る時期でもある。変に注目されることで選手が浮ついているような感じもあったし、戸惑ったこともあったんじゃないかなって」
6月の交流戦は10勝8敗で6位。チームが自分たちの実力を受け入れたのがちょうどこの頃だったように感じると秋山は言う。
「勢いでやってきた状況でそれをへし折られて、できることをやって勝っていこうという姿勢になれたように思います。それでも首位でいられたので、しっかり前に進んでいるなと感じることができた。自分としては、6月からの戦いがチームの実力かなと感じています」
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