埼玉西武・秋山翔吾、30歳を迎えた侍の原動力 記録を期待される今、励みになっていること

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
秋山 翔吾(あきやま・しょうご)/プロ野球選手。1988年生まれ。神奈川県の横浜創学館高校、八戸大(現・八戸学院大=青森)を経て2010年ドラフト3位で埼玉西武ライオンズ入団。主な成績は2015、2017年に最多安打とベストナインに。2017年首位打者。2013、2015、2016、2017年にゴールデングラブ賞(撮影:風間仁一郎)

「自分のやるべきこと自体は変わらないのですが、今の立場ではより正確性が求められていると感じます。若い頃は失敗も糧になるけど、もう『ただガムシャラに失敗を恐れず』という年齢ではなくなりました。

今はむしろ、経験を積んだ分だけ失敗に臆病になっています。

『そんな失敗をレギュラーの選手がやっちゃダメだろう』と言われるようなプレーを、僕もたまにしてしまうことがあるんですよね。

そのプレーや、その後の立ち振る舞いを後輩が見ていると思えば、次に向かう姿勢をしっかり見せていかなくては、使う側だって納得できない。そういう緊張感は常にあります」

後輩に対しては、ダメなものはダメとはっきり言う。

まわりに発破をかけることを自分への戒めとし、自身の向上へとつなげていく。

「人にモノを言う立場になれば、その分だけ自分の振る舞いを厳しく見る人も増える。人に言う以上、自分はそれ以上のことをやって、後ろ指をさされないようにしないといけない。自分自身のプレーの質を向上させるためにあえて言っているところはありますね。言わないほうが楽は楽ですよ。でも、それだと自分にも甘えが出ますから」

社会貢献活動が自分自身のプレーの励みに

小学生の頃に父親を亡くした秋山は、同じ境遇の子供たちを元気づけたいと、2015年からひとり親家庭の家族をライオンズの主催試合に招待している。「母子寡婦福祉連合会」や「ひとり親家庭福祉協議会」の協力のもと実施しており、試合前にもサインや記念撮影をするなど交流を深める取り組みだ。

今シーズンに秋山選手が行った招待試合の様子。今シーズンは今後も実施する見込みで年間160名ほどを予定している(写真:©SEIBU Lions)

「試合当日を楽しむだけでなく、その日まで頑張る活力に、その日以降はよき思い出にしてほしい」との思いで活動を続けているが、実はこの取り組みも自身への前向きなプレッシャーになっている。

「招待したからには、来てくれた子供たちに自分が試合でプレーしている姿、活躍する姿を見せたいと思うし、そのためには普段からしっかり頑張っておかないといけないと思いますね」

チームには秋山以外にも、栗山巧や炭谷銀仁朗、浅村栄斗、今シーズンから活動を始めた増田達至など、地域や子供たちに対する取り組みをプレーへの原動力にしている選手がいる。

グラウンドの外で得る力を糧に、10年ぶりの優勝を果たすことができるのか。終盤戦のライオンズの粘り、そして自身の役割を意識した秋山のプレーに注目したい。

(文中敬称略)

岡田 真理 ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おかだ まり / Mari Okada

1978年静岡県生まれ、立教大学文学部卒業。プロアスリートのマネジャーを経て2007年よりフリーランスライターとして活動。『週刊ベースボール』『がっつり!プロ野球』『スポーツナビ』などで執筆するほか、『谷繁流キャッチャー思考』(日本文芸社)『北島康介トレーニング・クロニクル』(ベースボール・マガジン社)などの書籍で構成を担当。2014年に野球を通じてチャリティーなどの社会貢献活動を行うNPO法人「ベースボール・レジェンド・ファウンデーション」を設立。「プロ野球静岡県人会」の事務局長、および侍ジャパンU12監督・仁志敏久氏が主宰する野球振興プロジェクト「ホームベースクラブ」の運営も行っている。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事