埼玉西武・秋山翔吾、30歳を迎えた侍の原動力 記録を期待される今、励みになっていること
「自分のやるべきこと自体は変わらないのですが、今の立場ではより正確性が求められていると感じます。若い頃は失敗も糧になるけど、もう『ただガムシャラに失敗を恐れず』という年齢ではなくなりました。
今はむしろ、経験を積んだ分だけ失敗に臆病になっています。
『そんな失敗をレギュラーの選手がやっちゃダメだろう』と言われるようなプレーを、僕もたまにしてしまうことがあるんですよね。
そのプレーや、その後の立ち振る舞いを後輩が見ていると思えば、次に向かう姿勢をしっかり見せていかなくては、使う側だって納得できない。そういう緊張感は常にあります」
後輩に対しては、ダメなものはダメとはっきり言う。
まわりに発破をかけることを自分への戒めとし、自身の向上へとつなげていく。
「人にモノを言う立場になれば、その分だけ自分の振る舞いを厳しく見る人も増える。人に言う以上、自分はそれ以上のことをやって、後ろ指をさされないようにしないといけない。自分自身のプレーの質を向上させるためにあえて言っているところはありますね。言わないほうが楽は楽ですよ。でも、それだと自分にも甘えが出ますから」
社会貢献活動が自分自身のプレーの励みに
小学生の頃に父親を亡くした秋山は、同じ境遇の子供たちを元気づけたいと、2015年からひとり親家庭の家族をライオンズの主催試合に招待している。「母子寡婦福祉連合会」や「ひとり親家庭福祉協議会」の協力のもと実施しており、試合前にもサインや記念撮影をするなど交流を深める取り組みだ。
「試合当日を楽しむだけでなく、その日まで頑張る活力に、その日以降はよき思い出にしてほしい」との思いで活動を続けているが、実はこの取り組みも自身への前向きなプレッシャーになっている。
「招待したからには、来てくれた子供たちに自分が試合でプレーしている姿、活躍する姿を見せたいと思うし、そのためには普段からしっかり頑張っておかないといけないと思いますね」
チームには秋山以外にも、栗山巧や炭谷銀仁朗、浅村栄斗、今シーズンから活動を始めた増田達至など、地域や子供たちに対する取り組みをプレーへの原動力にしている選手がいる。
グラウンドの外で得る力を糧に、10年ぶりの優勝を果たすことができるのか。終盤戦のライオンズの粘り、そして自身の役割を意識した秋山のプレーに注目したい。
(文中敬称略)
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