ブロックチェーンが創る「GAFAと違う新世界」 エンジェル投資家の谷家衛氏とダイ氏に聞く

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「日本企業でユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)といえるのは、メルカリくらいでしたが、そのメルカリも上場を果たしました。これから成長が期待できる海外企業や優秀な若者に、日本に来てもらえるようにしていくにはどうすればいいか。若くて優秀な人材や、成長が著しい海外企業に日本に来てもらうのは、簡単なことではありません。税金も安くないし、背後に中国のような巨大市場があるわけではないからです。しかし、ブロックチェーンという新しい分野でどの国よりも先に行くことができれば、再び人もお金も集まってくる可能性があると思っています」

今回、谷家氏は、事業の指揮をとっていくクリス・ダイ氏との出会いで、ブロックチェーンによって本当に世界をよくしていこうとしている人材が、中国だけではなく、海外にたくさんいることを知ったという。

「中国だと、仮想通貨に関連してブロックチェーンを用いてビジネスをするのは禁止されているうえに、仮にビジネスができたとしても、あとから突然法律が変わって携わる人間が犯罪者になってしまう危険性があります。だから『合法的に日本でできるのであれば、日本に来たい』という人は、中国以外にもカナダやウクライナなど、世界にはたくさんいるのです」

中国もブロックチェーンの研究には熱心なものの、仮想通貨やトークンのICO(イニシャルコインオファリング:仮想通貨によって資金調達をする手段)と切り離して考えている。しかし、それは簡単ではないという。

ブロックチェーンとトークンが切り離せない理由

「中国政府は、パブリックのブロックチェーンをどうやってトークンと切り離してやっていくかという調査研究に莫大なお金を投じています。なぜなら、キャピタルフライト(資本逃避)やマネーロンダリング(資金洗浄)を恐れているからです。しかし、私たちが一緒にやっている中国人たちは、それに対して『それはすごく難しい』と苦笑いしています。そもそも、パブリックチェーンのブロックチェーンとトークンは簡単には切り離せるものではないからです。そんな彼らが日本に期待するのは当然のことだと思います」

トークンによる資金調達は便宜性が高く、「お金と人が同時に集まるから 良質なプロダクトが生まれる」という。世界的投資家であるジョージ・ソロス氏が彼の再帰性理論で「原因と結果は相互に作用する」ことを主張しているように、「原因から結果」ではなく、「結果から原因」を生み出す可能性は無視できないという。いい例がシリコンバレーを中心とする、アメリカ西海岸の巨大企業群の隆盛だ。

「ものすごく荒っぽく言ってしまうと、シリコンバレーに集まる優秀な人が紙にビジネスプランを書くだけで、完全なプロダクトがなくてもその期待値だけで巨額のお金が集まっています。そのお金でさらに優秀な人を集めて、良質なプロダクトを作っていくわけです。シリコンバレーもある意味、原因と結果が逆転している好例だと思います」

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