ブロックチェーンが創る「GAFAと違う新世界」 エンジェル投資家の谷家衛氏とダイ氏に聞く

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実際、IT関連の新興企業には、その将来価値を見越した高いバリュエーション(価値評価)がつくことが往々にある。バブルに近い評価を受けている企業も少なくないが、将来の可能性にかける意味でも、すべてが悪いバブルではないという。

「ブロックチェーンは技術的な可能性もそうですが、お金が集まるからそこに優秀な人が集まって作れるものがある。そういう意味でも、ブロックチェーンの可能性はとても面白いと思います」

「詐欺まがいのICO」への対策はどうする?

しかし、資金調達のしやすさから、現状では詐欺まがいのICOが横行し、一般人はもとより、金融庁などの監督官庁も懐疑的に見ている状況にある。

こうした状況を変えるにはどうすればいいのか。ここからは2人に解説してもらう。

C・ダイ氏は「日本が率先して公正で安全に運用できるルール作りができれば、ブロックチェーン市場をリードできる。日本にとってまたとないチャンス」と語る(筆者撮影)

「まずは状況を変えるところから始めなくてはいけないと思っています。ICOにはいいプロジェクトとそうでないプロジェクトがあるので、第三者によるICOのレーティング(格付け)をして、それをしっかりしたデータに基づいて、メディアで発信していきたい」(ダイ氏)

法律を新たに整備するうえで、ブロックチェーンについて完全に理解している日本政府の関係者は少ない。こうした状況を変えていくために、具体的なケースを作っていくと同時に、海外の事例なども紹介しながら、理解を深めてもらうという。

「中央集権的な政治体制のなかでは、ICOを普及させていくのは本当に難しい。特に中国で実施するのは難しいでしょう。そこで、日本が率先して公正で安全に運用できるルール作りができれば、この市場をリードしていくことができるので、日本にとってまたとないチャンスになると思っています」(谷家氏)

アリペイやウィーチャットなど、フィンテック分野で成長著しい企業を抱える中国も、分散型のブロックチェーンは不向きだと考えるのはなぜか。

「結局、中国は政府が中央集権的にデータを一元管理したい。なので、AIやデータといったものとは相性がいいけれども、分散型にしてしまうと管理ができなくなってしまうからです」(ダイ氏)

次ページそびえ立つ「巨大IT企業の壁」を崩せるかもしれない
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