ブロックチェーンが創る「GAFAと違う新世界」 エンジェル投資家の谷家衛氏とダイ氏に聞く

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では、アメリカはどうか。アメリカは中国のような中央集権国家とは違い、民間企業が自由に競争できる土壌がありそうだ。日本よりもアメリカで手掛けるほうが成功する可能性が高いのではないか。

谷家氏が言う。「アメリカの場合、GAFAに代表されるように巨大IT企業が中央集権化しているので、実は中国とすごく似ているところがあります。もともとインターネットは『個人をエンパワーする』という発想で出てきて、その役割は間違いなく果たしたと思います。しかし、それがどんどん進んでいき、少数の企業が巨大になりすぎて、再び個人が無力化しています。そびえ立つ巨大な壁に個人がやりで攻撃してもどうしようもない、という世界ができてしまった。もしその壁を壊せるものがあるとしたら、それは分散型のブロックチェーンしかない。ここにお金、人材、テクノロジーの3つが集まったら、壁を壊せるかもしれない。それには、日本こそブロックチェーンやICOをしっかりしたルールの下に認めて、既存のものを破壊する側に立つことです」

ブロックチェーンと相性のいい業種とは?

しかし、これまで中央集権的にビジネスを行ってきた大企業にとって、分散型のブロックチェーンをベースにすることは既存のやり方を否定することになりかねない。大企業の声に押し潰されはしないだろうか。

「日本の大企業も今のやり方でアメリカや中国の会社との競争に苦戦しているわけだから、ベンチャー企業とともに、分散型でのアプローチを思いきり伸ばす方向に舵を切るべきです」(谷家氏)

では、分散型のブロックチェーンと相性がいいビジネスとは何か。

「実は相性がいい業種は幅広い。データをやり取りする必要のある、ありとあらゆる分野です。たとえば、ヘルスケア。現状、個人の医療データは病院に(中央集権的に)保管されていますが、分散型にすれば個人が自分で簡単に管理できて、医者に診てもらうときに特定のデータだけを提示できるようになります」(ダイ氏)

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