「被害者ぶる人たち」の厄介すぎる危険な生態 かかわってしまうとヤバイことになる

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「幸運なことに、自分のまわりにそんな厄介な人はいない」と感じている人もいるだろう。“被害者ぶる人”は、加害者に仕立てあげても反撃をくらわないような相手を選んでターゲットにする。また、まわりに「自分がどれだけ被害を受けたか」をアピールすることにも長けている。

そのため自分が直接被害に遭わなければ、“被害者ぶる人”たちがいることに気づかないのも無理はない。

“被害者ぶる人”の格好のターゲットは

では、身近な人間関係の外──たとえば新聞の三面記事──に目を向けてみたらどうだろうか。

駅員につば吐く 容疑で36歳逮捕 神奈川
10日午前9時55分ごろ、逗子市逗子のJR横須賀線逗子駅に到着した電車内で、酒に酔って寝込んでいた男に男性駅員(48)が「終点ですよ」と声をかけたところ、男は起こされたことに腹を立て、駅のホームで駅員につばを吐きかけ、駅員に取り押さえられて逗子署員に引き渡された。(『産経ニュース』2018年1月11日7時1分配信)

駅員への暴行は、完全に逆ギレである。お酒を飲んで寝過ごしたのは、どう考えても容疑者自身に非がある。とはいえ、自業自得ゆえに怒りをどこにもぶつけることができない。そこで「起こされた自分は被害者だ」という立ち位置をつくり、弱い立場に置かれている駅員に怒りをぶつけるわけだ。

標的になるのは駅員だけではない。“被害者ぶる人”にとって店員も格好のターゲットになりうる。

コンビニオーナーに頭突き、自分でこぼしたコーヒー代もらえず…容疑で京都の無職男逮捕
自分でこぼしたコーヒーの代金が返金されなかったことに腹を立て、コンビニエンスストアのオーナーに頭突きをしたとして、南署は2日、暴行容疑で京都市南区の無職男(45)を現行犯逮捕した。容疑を認め、「腹が立った。対応が許せなかった」などと供述しているという。(『産経WEST』2017年8月2日19時40分配信)

コーヒーをこぼしたのは本人なのだから、代金が返金されないのはあたりまえだ。しかし、この容疑者は被害を受けたのは自分だと考えて、店員への暴行を正当化しようとした。言語道断である。

『被害者のふりをせずにはいられない人』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

キリがないのでまずこの2例にとどめるが、自分は被害者だと主張してサービス業の従業員に詰め寄るクレーマーの例は、ネットを検索するといくらでも出てくる。

広い意味では、子どものことで学校に怒鳴り込む“モンスターペアレント”や、私たち医者に理不尽な要求をする“モンスターペイシェント”も、クレーマーの一種だろう。事件化されていないだけで、あたかも自分が被害者であるかのように装う保護者や患者のせいで困った経験のある教師や医師は多い。

このように“被害者ぶる人”たちは社会のあちこちに存在している。

もし自分の身近なところに“被害者ぶる人”がいなかったとしても、それはたまたま運がよかったからに過ぎない。彼らに目をつけられて、次に本当の被害を被るのは、あなたかもしれない。

片田 珠美 精神科医

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かただ たまみ / Tamami Katada

広島県生まれ。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。京都大学博士(人間・環境学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。2003年度~2016年度、京都大学非常勤講師。臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。著書に『他人を攻撃せずにはいられない人』(PHP新書)、『賢く「言い返す」技術』(三笠書房)、『他人をコントロールせずにはいられない人』(朝日新書)など多数。

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