日焼けクリームと日焼け止めはどう違うのか 意外と知らない、初夏からの「すごい技術」

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綿繊維にシワができる仕組み(イラスト:小林哲也)

シワを作らないためには、水による繊維の膨張を抑えればいい。その解決策として考え出されたのが「架橋(かきょう)反応」だ。繊維と繊維がしっかり結びつくよう、分子同士に橋を架ける化学反応を利用するのだ。そうすれば、水がしみ込んでも繊維は膨張しなくなる。

架橋反応による形態安定加工(イラスト:小林哲也)
『雑学科学読本 身のまわりのすごい技術大百科』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

架橋反応には最初、ホルマリンが利用された。現在では肌や環境にやさしいさまざまな物質が考え出されている。

架橋反応を利用して繊維の変形を防ぐ技術は、何も綿だけに限ったことではない。ウールにも利用されている。いわゆる「丸洗いできるスーツ」などがそれだ。ウール繊維は表面がウロコ状になっていて、水を含むとささくれ立ち、隣の繊維ともつれ合う。これが、水洗いでウール製品が縮む原因だ。そこで、繊維を薄く樹脂で包んで架橋させる。

すると、濡れても繊維はもつれ合うことがなく、乾燥すれば元の形に戻る。

「濡れ干し」が基本

ちなみに、形態安定加工された衣服は「濡れ干し」が基本。雫がたれるくらいが理想だ。水分の重みでシワが自然に伸びるからである。

以上、この記事では、初夏から頻繁にお世話になる“すごい技術”を簡単に解説したが、「よく使っているけれど、その仕組みをほとんど知らない」モノはたくさんある。私たちの生活を“心地よいもの”にしてくれるのは、よく買い求め、よく使っている、あの身近なモノの“すごい技術”のおかげなのかもしれない。

涌井 良幸 サイエンスライター

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わくい よしゆき / Yoshiyuki Wakui

1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。教職退職後は著作活動に専念している。

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涌井 貞美 サイエンスライター

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わくい さだみ / Sadami Wakui

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。

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