JAL、やっと念願の「5つ星」を獲得できた理由 複数社が最高評価を受けたのは日本だけ

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赤坂:スカイトラックスには、しっかりと「日本においてエアラインのサービスはこのような形のものがすばらしいものと考えられている」と説明してきたし、そういったコンセプトでサービスの向上に努めてきたことも話したりもした。こういった経緯もあって、スカイトラックスとのコミュニケーションの時間がやや長めにかかってしまったかなあ、と感じてもいる。

「5つ星」獲得は、日本流サービスが認められたことも要因

JAL自身が発表したニュースリリースによると、「5つ星」を獲得できたその背景として、以下のように説明している。

これまで磨き上げてきた商品、サービスを海外のお客様にも提供できるよう、グローバルな視点から、機内食や機内エンターテインメント、空港・ラウンジサービスなどを改善してきたほか、多様化するお客様のニーズに寄り添った幅広いお客様のニーズに寄り添った幅広い選択肢の提供や、パーソナルかつ高品質なサービスの多様を進めてきたことが評価された

インバウンド客が右肩上がりで増え続ける日本において、国際線における航空会社のサービスはどうあるべきかについて聞いてみた。

――日本を訪れる外国人観光客が増加する中、日系航空会社としてのサービスのあり方は?

赤坂:われわれが「5つ星」獲得を目指すに当たって、「日本人が作ってきた」サービスというものを変えるつもりはまったくなかった。こういった日本流のサービスについて、「海外の人々にきちんとご理解いただきたい、認められたい」という気持ちでこれまで進めてきた。今回の受賞は日本人のサービスのスタイルが世界に認められたという点で、非常に意義があるものと理解している。

外国人の搭乗客が増えていることもまた事実で、日本流のサービスにはない彼らが求めるニーズも併せてとらえなくてはならない。そういったものも融合しながらサービスの形を作っていくべきだ、と考えている。これまで「5つ星」を受けるための努力のプロセスの中で行ってきたことが評価につながったように思える。

「なにもかも外国人のニーズに合わせる」のでもなく、かといって「日本的でドメスティックなサービスを推し進める」時代でもない。日系航空会社に求められるのは、「日本人が持つ伝統的なサービスの提供」と、「外国人の方々に受け入れられるサービスを作り上げるための努力」の両面があると考える。それらをさらにしっかりと作り上げていくことが今後の大きな課題ではないだろうか。

これらの背景を見ると、今回の「5つ星」受賞と、日本へのインバウンド客が急激に伸びたタイミングが重なったことは決して無関係ではない、と考えている。

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