熟年パパの「健康リテラシー」が超重要なワケ 健康診断の数値を「見るだけ」では意味なし
また、病気のおそれがある臓器の検診については、毎年、定期的に受け続けることも大事だそう。
「医療の情報はつながっていることが大事で、経年的、定期的な数値観察によって、初めて読み解ける症状もあります。会社の健康診断をベースにしつつ、気になる数値や臓器があれば、身銭を切って同じ病院で継続的に検診を受け、時系列で数値を見てもらえるようにしましょう。自分の体や健康には、自分自身が責任を負うもの。節目節目で自分の体のデータを見つめていくことが大事であり、毎年続けていくことで、糖尿病のリスクは下がり、がんの早期発見にもつなげることもできます」(飯島教授)
毎年の健康診断の数値を見るだけで終わりにせず、どれだけ自分ごととしてとらえられるのか。改善のために向き合えるのかは、まさにその人の健康リテラシー次第なのです。
「あやしいレベル」だからこそ、健康を取り戻せる
自分の健康管理については、仕事のように外から期限を提示されることがないため、ついつい後回しにしがち。けれど、「子どもが20歳になったときにも、健康でいたい」と思うのなら、まず、自分自身の意識を変えることが大事なのです。
「病気には、必ず因果関係があるもの。医療においては、発症したときにどれだけ切れ味のいい治療ができるかどうかが重要であり、その手前で個々が健康リテラシーを高く持つことがリスクを低減します。熟年パパ世代の40代は、まだがんなどの発症リスクは低く、糖尿病も予備軍であることが多い。悪い数値が出ても『あやしいレベル』であり、だからこそ取り戻せるのです。
生活習慣の中で継続性のある努力を続け、検診結果で足跡を残し、落ちる手前でしっかりフォローアップしていけば、必ずその成果は実ります。また、結果が出ない場合には、改善方法が間違っているので、それを基に効果のある改善策につなげることもできます。いちばん怖いのは、結果から目を塞ぐことなのです」(飯島教授)
また、高齢化がどんどん進む今、国の社会保障の構造がどんどん変化していることにも目を塞がないことが大事です。飯島教授が研究を進めている老年医学を中心とした日本老年学会では、高齢者の定義も75歳に引き上げてもいいのではないかとの提言を出されたそうです。
「2018年には、政府が社会保障費用の債務が2040年度に190兆円になるとの推計を公表しました。一方、65〜74歳の前期高齢者は元気であり、10年前よりも身体的に若いということが判明しており、国の財政がますます逼迫する今後、彼らはサポートされる側ではなく、サポートする側に回ることになるでしょう。
これまで65歳以降の生活を守ってくれた国は、今後、その対象を70歳以上に引き上げる可能性が高く、熟年パパ世代が高齢者となる頃には、『生涯現役』を提唱する可能性もあります。そうなった場合にも、健康があってこそ、就労できます。高齢者となる一歩手前で腰を上げても遅い。熟年パパたちが健康であり続ける手を打つのなら、今しかないのです」(飯島教授)
子どものためにも、将来の自分のためにも、今、どれだけやれるかが勝負。熟年パパ世代の今後を左右するのは「健康リテラシー」であり、今、この瞬間からの行動にその明暗がかかっていると言えそうです。
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